わたしたち人間は、原始時代から100人くらいの集団で生活してきたと考えられています。みなが力を合わせて、自然の厳しさを生きのびてきたのです。
そのように力を合わせることの大切さがこころに染みついているわたしたちにとって、ソーシャルディスタンシングが強調され、1人で生活するのは精神的に苦痛です。
ソーシャルという英語は、一般に「社会」と訳されることが多いのですが、社会というよりは人と人の交流という意味合いが強いようです。ですから、世界保健機関(WHO)は、ソーシャルディスタンシングではなく、身体的距離を強調するフィジカルディスタンシングという言葉を使うようになりました。

大野 裕(文)、ねこまき(マンガ)
感染しないように適度に物理的な距離をとりながら、人間的な交流はいままで通りに続けるようにという思いが込められてのことだと思います。
人と人との交流は、こころの緊張をやわらげます。信頼できる人がそばにいると安心できます。新型コロナに感染するのではないかという不安もやわらぎます。
人と話をしていると、考えを整理することができます。相手の表情や対応に気を配りながら話をしたり、相手から質問してもらったりすることで、考えがまとまっていきます。問題から距離を置いて冷静に考えられるようにもなってきます。
どうすることもできないという思い込みから自由になって、新しい解決の糸口が見えてきたりもします。そのように人と交流し、問題にも対処できる自分を意識できると、自分を肯定的に受け止められるようになり、こころが落ち着いていきます。
信頼できる人の存在がこころの力になるのニャ