
人間の3大ネガティブ感情と呼ばれる「うつ、不安、怒り」。これらの感情に苦しめられている人も多いだろう。ネガティブな感情に振り回されず、不適切な行動を取らないためにはどうすればよいのか。それぞれの感情が持っている意味と、気持ちが揺れた時の対処法について解説していく。※本稿は、大野 裕(文)、ねこまき(マンガ)『マンガ ネコでもできる!認知行動療法 ニャンだかツラい…がニャンだかタノシい?!に変わる本』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
うつの背景にあるのは
大切なものを失ったという判断
人間3大ネガティブ感情と呼ばれるのが、うつ、不安、怒りです。それぞれの感情がもっている意味(編集部注/感情と認知・行動の関係性のこと)についてもう少し考えてみましょう。

わたしたちは、なにか大切なものを失ったと考えると、気もちが落ち込んできます。つまり、うつの背景には、大切なものを失ったという判断が働いているのです。
大切な人と別れたとき、体調を崩したとき、大事にしていたものをなくしたとき、このようなときにはだれでも落ち込みます。
そうすると、ふさぎ込んで自分の世界に閉じこもりがちになってきますが、それは、エネルギー補給をして態勢を立て直そうとするこころの動きの結果です。
大事なものをなくしたときに落ち込んで、あまり動かなくなるのは自然なこころやからだの反応なのです。そのようなときにむやみに動くと、消耗するばかりで、ますますエネルギーを失っていくことになります。
ところが、わたしたちは、自分が失ったものを実際以上に大きく考えてしまうことがあります。仕事に失敗したときに、もう二度と仕事はうまくいかないだろうと考えたりするのがその例です。
自分にとって大事だと思っていることが思うようにいかなかったときには、とくにそうした考えになりやすく、その結果、なにも手につかなくなって、ますます自信をなくすという悪循環に入り込んでいきます。
必要以上に強い不安から
悪循環が生まれる
不安は、危険だという考えから生まれてくる感情です。そうすると、危険を避けようとする回避行動をとるようになります。
本当に危険なときには、もちろん早めに対応して危険を避ける必要があります。