
一般的によくないイメージの強い「ストレス」だが、適度なものであれば、こころを元気にしてくれる“人生のスパイス”にもなる。ストレスを味方にして、自分のために生かしていく「3つのC」とは一体何なのか?「認知行動療法」の第一人者である著者が解説する。※本稿は、大野 裕(文)、ねこまき(マンガ)『マンガ ネコでもできる!認知行動療法 ニャンだかツラい…がニャンだかタノシい?!に変わる本』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
ストレスを味方にして
こころを元気に
ここでは、わたしが「こころを元気にする3つのC」と呼んでいる、ストレスを味方にしてこころを元気にするポイントについて説明します。
ストレスというと、一般にはよくないことだと考えられています。
たしかに、ストレスがかかりすぎると、心身のバランスが崩れやすくなります。
しかし、「ストレスは人生のスパイス」と言われていることからもわかるように、適度なストレスは、わたしたちの集中力を高め、やる気を出し、こころを元気にします。
そのようにストレスを自分のために生かす重要なポイントを、わたしは次に挙げる3つにまとめ、その頭文字をとって「こころを元気にする3つのC」と呼んでみなさんにお伝えしています。
C1 コグニション(認知) Cognition
しなやかに考えて解決に向けて工夫できる力
C2 コントロール感覚 Control
環境やこころを、自分が主体性をもちながらコントロールしているという感覚
C3 コネクション(つながり)とコミュニケーション Connection& Communication
ほかの人とわかり合い、助け合える人間関係
「3つのC」とは、ストレスを味方にしてこころを元気にするのに役立つポイントなのニャ

よくない可能性を考えることで
自分を守っている
3つのCの1つめ「認知(Cognition)」というのは、かたい言葉で表現すると脳の情報処理のプロセスです。
わたしたちは、いつもいろいろな情報をとり入れ、それを判断しながら生きています。それが認知です。
そうした判断は、ほとんど意識されないまま瞬間的に行われ、瞬間的に流れ去っていきます。いちいち意識していたら、時間がかかって仕方ありません。
わたしたちの考えには、「速い考え」と「遅い考え」があって、いつもはこのように、意識できないほど速い考えをしながら生活しています。そのほうが効率的だからです。しかも、まずよくないことを考えます。わたしたち人類は、昔から、よくない可能性を考えることで自分を守ってきました。