
誰もが、人間関係や仕事・勉強など、いろいろな悩みを抱えている。しかし、その悩みにとらわれすぎると、悩みが人生の主役となってしまう。ネガティブな感情と向き合い、人生を自分の手に取り戻すにはどうすればよいのか。「認知行動療法」を使い、“こころの力”を生かしていく方法を解説しよう。※本稿は、大野 裕(文)/ねこまき(マンガ)『マンガ ネコでもできる!認知行動療法 ニャンだかツラい…がニャンだかタノシい?!に変わる本』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。
人生を自分の手に取り戻す
認知行動療法とは
あなたのレジリエンス力(編集部注:ストレスを感じても、それに対処して自分の力を引き出し、うまくそれを使っていく力)は、認知行動療法の考え方を参考にすれば高めることができます。
認知行動療法というのは、うつ病の治療法として開発され、その後、不安症などのほかの精神疾患の治療でも効果が確認された、世界でもっとも多く使われている精神療法(心理療法)です。
最近では、慢性の痛みや耳鳴り、目まいなどからだの慢性的な不調にともなう心理的ストレスを軽くするためにも使われるようになり、さらには、心身に不調を感じていなくても、毎日を自分らしく生きていくために、地域や企業で使われるようになっています。
このように広く使われるようになったのは、認知行動療法が、レジリエンス力を高めてこころの健康を守るわたしたちの生活の知恵を、使いやすくまとめたものだからです。ですから、認知行動療法は、常識の精神療法(心理療法)と呼ばれています。
人生の悩みを体験しているのはあなただけではありません。
わたしたちはだれもが、人間関係や仕事、勉強など、いろいろな悩みを体験しています。そのことを考え込んでいると、自分らしく生きていくことができなくなります。悩みにとらわれて、思うような生活が送れなくなるのです。いつのまにか、悩みが人生の主役になってしまっているのです。
そうしたときに、人生を自分の手にとり戻すのに役に立つのが、認知行動療法の考え方です。
認知行動療法では、自分にとって大切なことに目を向け、それを手に入れることができるように手助けしていきます。そのために、悩みから距離を置いて、自分がどのように生きていきたいかをもう一度考えてみるようにします。
自分らしい生き方の邪魔をしているのはなにか、そこから先に進んでいくためになにをすればいいか、そのために自分になにができるのか。そのように考えていくと、自然に自分らしさをとり戻すことができ、自分らしい生き方ができるようになってきます。