ですから、たとえば老齢厚生年金を繰り下げして70歳からもらい始めることにした場合、夫と妻の年齢差が5歳だと、夫が老齢厚生年金をもらい始める時に妻は65歳になっているので、加給年金はもらえません。
ただし、会社員の年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の「2階立て」なので、繰り下げる場合は、分けてもらうことができます。
したがって、基礎年金は70歳からに繰り下げて、老齢厚生年金は65歳から受給することも可能。そうすれば、5歳年下の妻も、自分が年金受給を開始するまでの5年間は、加給年金をもらうことができます。
しかも、加給年金の対象者が65歳になって対象から外れても、今度は「振替加算」をもらえます。詳しくは日本年金機構ホームページを参照ください。
企業年金のもらい忘れに注意
退職していても大丈夫
数年前、ある女性誌の記者から「先生の本を読んで、年間7万円の年金が増えることがわかりました!」と連絡がありました。
「約100万人以上が企業年金をもらい忘れている!」と書かれていたので、該当しないか調べてみたと言うのです。
皆さんも、「企業年金」をもらい忘れていませんか?
企業年金とは、企業が公的年金(老齢基礎年金と老齢厚生年金)とは別に上乗せしている独自の年金のことで、働いている会社に企業年金があれば、たとえ1カ月の加入であっても一生涯もらえるお得な年金です。
ところが、それをもらい忘れている人が、なんと2024年3月末現在で、約114万人もいるようです。
なぜ、これほど多くの人が、もらえるはずの年金をもらっていないのでしょうか。
わりと多い理由が、なんらかの理由で退社してしまったから。
企業年金は、確定給付企業年金、確定拠出年金、厚生年金基金などがありますが、そのなかで大きな割合を占める厚生年金基金は、原則65歳から支給されるものです。