大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』で横浜流星演じる蔦屋重三郎は、弟分・唐丸に「おまえを謎の絵師として売り出す」と発言する。蔦重が売り出した謎の絵師といえば、まず思い浮かぶのは東洲斎写楽だ。突如、江戸の出版界に登場し、約150点の作品を残して忽然と消えた浮世絵師・写楽の正体については、現在も多くの説が存在する。蔦重が愛した写楽の魅力と正体について、大河マニアの松村邦洋が考察する。※本稿は、松村邦洋『松村邦洋 懲りずに「べらぼう」を語る』(プレジデント社)の一部を抜粋・編集したものです。

写楽とものまね芸の共通点
「似てる」より大事なことは?

写楽の絵Photo:Heritage Images/gettyimages

 写楽の作品のデフォルメは強烈なんですけど、ボクらがやる有名人のものまねも、要はデフォルメだと思いますよ。コロッケさんじゃないけど、本物と似てるかどうかは二の次で、「怒られるよ、それやったら」っていうようなのも大事ですもんね、見てるお客さんに訴えかけるには。

 だって、コロッケさんのやる八代亜紀さんのものまね、まぶたに目、描いてますけど、本物は描いてないですし(笑)。

 谷村新司さんとか松山千春さんのマネをするとき、髪の毛をこうやって上げてやるのも、デフォルメって言えばデフォルメ。

 でも、コロッケさん本人は、「『今日、松山千春さんが来るよ』って言われたらどうしよう……っていつも思ってる」って言ってました(笑)。「用意したハゲヅラを松山千春さんに見つかった時、とっさに『これは谷村新司さんのです』と言ってゴマかした」って話は笑いましたね(笑)。