Mレンジは、ドライバーの意思通りにシフトチェンジし、運転を楽しむためにある

「M(マニュアル)レンジ」は、シフトゲートのプラスマイナス位置でシフトレバーを操作できるレンジです。クラッチペダルを持つマニュアル車のように、ドライバーが自らシフトアップやシフトダウンを行うことができることから、運転好きに人気のあるレンジです。

 Mレンジが用意されているクルマにはステアリングホイールから手を放さずにシフトチェンジができるパドルシフトスイッチが備わっていることも多く、たとえば、追い越し車線で一時的に強い加速をするときに、自動変速される前にシフトダウン(マイナス)して強く加速したり、高速道路などでブレーキペダルを踏まずに減速したいときにシフトダウン(マイナス)をしてエンジンブレーキを強く利かせたり、という使い方をします。

 ただし、優れたシフトチェンジプログラムが組まれている昨今のAT車では、クルマが自動でギアセレクトするのに逆らってドライバーがギアを操作することは、かえってぎくしゃくした走りになり、燃費の悪化につながることも考えられます。「AT車でも、時には、ドライバーの意思のとおりの変速操作をして運転を楽しみたい」と考えるユーザーのために用意されているのがMレンジなのです。

M(マニュアル)レンジは、ドライバーが自らシフトアップやシフトダウンを意図的に行うことができるM(マニュアル)レンジは、ドライバーが自らシフトアップやシフトダウンを意図的に行うことができる Photo:Adobe Stock
ホンダ・ヴェゼルe:HEVのハンドル部分にあるパドルシフト(減速セレクター)。ハンドルの左側裏にはマイナス(ダウン)スイッチが、右側裏にはプラス(アップ)のスイッチがあるホンダ・ヴェゼルe:HEVのハンドル部分にあるパドルシフト(減速セレクター)。ハンドルの左側裏にはマイナス(ダウン)スイッチが、右側裏にはプラス(アップ)のスイッチがある Photo:Adobe Stock

 BレンジやSレンジは、フェード現象を防ぐため、長い下り坂では積極的に使うようにしたいレンジですが、Mレンジは、無理に使う必要はありません。ただ運転好きとしては、もしクルマに備わっているのならば、一度使ってみてほしいと考えます。運転がもっと楽しくなるかもしれませんよ。