ハイブリッド車やEVの「Bレンジ」は、ガソリン車のエンジンブレーキと同じ効果
近年のシフトレバーで、よく見かけるようになったのが「Bレンジ」です。「Bレンジ」は、ハイブリッド車やバッテリーEVのシフトレバーによくみられるレンジで、Bレンジの「B」は、「（エンジン）ブレーキ」を意味したもの。その名の通り、減速をしたいときに使うためのもので、かつてのガソリン車でみられた「2」や「L」が置き変わったものです。もちろん、使い方も使うシーンも同じです。
ハイブリッド車は減速時、モーターを使って運動エネルギーから電力を取り出し、駆動用バッテリーに回収する「回生」を行います。自転車のダイナモライトがタイヤの回転を利用して発電する仕組みと同じで、アクセルペダルを戻した際も減速と同時に回生機能が作動しています。これがBレンジでは、この回生の強度が増し、より強い減速度とともに、多くの電力を取り出すことができるようになるのです（駆動用バッテリーが満充電の状態だとフットブレーキが作動します）。
日産ノートオーラの電制シフトレバー。D（ドライブ）の横にB（ブレーキ）併記されている。Dに入れるときと同じように、シフトレバーを手前に引くことでB（ブレーキ）レンジに入る Photo:Adobe Stock
Sレンジは、スポーティーな加速と強めのブレーキを両立させる
「S（スポーツ）レンジ」も、やや強めの減速を目的とするレンジです。もともとはガソリンエンジンの無段変速（CVT）のクルマに多く備わっていたもので、従来の「変速ギア」という概念がなく、仮想的に1速、2速とギア比を設定しているCVT車では、Sレンジに入れるとAT車でシフトダウンしたかのように、減速度が強まります。Sレンジが活躍するシーンは、Bレンジ同様に長い下り坂などです。
Sレンジでは高いエンジン回転数が維持されるため、「スポーツ走行向き（加速しやすい）」ということから「Sレンジ」と名付けられたと考えられますが、名称のイメージからか、実際に使う人が少なかったようです。そのため近年では、ガソリンCVT車でも「Bレンジ」という名に統一される傾向があり、たとえばホンダの「フリード」では、先代ではDレンジの下にSレンジがありましたが、現行型ではBレンジに名称が変更されています。ただ、今も「Sレンジ」という名を採用している車種もあり、メーカーごとに考え方が異なるようです。
S（スポーツ）レンジとB（ブレーキ）レンジの両方があるクルマもある Photo:Adobe Stock
