「よくわからない名前の部署で働くのは、リスクがあります」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。
それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「すぐに実践してみます!」と、とくに現場リーダー層を中心に多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「変えた方がいい組織文化」を紹介します。

何をする仕事なのかわからない独特な部署名
独特な名称の部署名にはリスクが見て取れる。
社外の人が理解しにくいことはもちろん、そこで働く人たちが「キャリア迷子」に陥ってしまうこともあるから注意が必要だ。
たとえば、いわゆる情報システム部門なのに、「プロセスマネジメント部(Process Management Dept.)」「業務革新部(Business Process Innovation Dept.)」などと名乗る企業がある。
人事部門、総務部門なのに「EX部(Employee Experience Dept.)」「CX部(Corporate Transformation Dept./Corporate Success Dept.その他)」なども。
何をしている部署なのか説明しにくく、一見して理解されにくい部署名を冠するケースは多い。
本人でさえも「自分は何の人なのか」がわからない
このような部署で働いている人は、自分たちが情報システムの仕事、人事の仕事、総務の仕事をしている認識を持ちにくくなる。
その領域のプロとして成長するためにどんな知識や技術を身につけたらよいかアンテナを立てられずに、学習迷子、キャリア迷子になりやすい。
筆者は他社の難解部署名の人に出会ったとき、業務内容を聞いて「いわゆる情シスのお仕事をなさっているのですね」など、平易な表現で指摘することがある。そうして「ハッ」とされた経験も少なくない。
「私の仕事、情シスだったんですね。総務だと思っていましたが言われてみれば……。これから情シス領域の勉強をもっとしてみます!」と。
「外の人」にも見つけてもらえない
難解な部署名を冠していると、外の人から見つけてもらいにくくなるデメリットもある。
「情報システム部」「人事部」「総務部」を名乗っていれば、出会った他社の人たちから「同じ情シスですね。意見交換しませんか?」「人事の研究会に参加しませんか」などの声もかけられやすい。
だが、難解な部署名だとそうはいかない。
名刺やメールに表記された部署名から何者か判断できない。
転職を考えたくなったときにも、他社の同職種の人や転職エージェントの人たちから見つけてもらいにくくなる。
たかが部署名、されど部署名なのである。
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では他にも、「なくしたほうがいい組織文化」を多数紹介しています)