
メルカリが格安スマホ市場への参入を発表しました。「メルカリモバイル」は、ユーザー同士でギガを売買する仕組みを導入し、スマホ代を大幅に節約できる可能性を秘めています。月額990円の2GBプランと同2390円の20GBプランを分析すると、料金設定が実に巧みで、一見すると大きな成功を収めそうに見えます。しかし、この画期的なビジネスモデルには、スタート段階で思わぬ“落とし穴”が潜んでいます。ユーザーが二の足を踏み、メルカリモバイルが“失敗”しかねない「初期段階のリスク」について、数多くの新規事業戦略を立案してきたコンサルタントが解説します。(百年コンサルティングチーフエコノミスト 鈴木貴博)
メルカリモバイルの
絶妙すぎる料金設定
メルカリが携帯事業に参入しました。ドコモの回線を借りる形で格安スマホ事業を始めるのですが、その仕組みがなかなか面白いのです。
プランは2種類で、月額990円(税込、以下同じ)の2GBプランと月額2390円の20GBプラン。面白いのは利用者同士で使わないギガをメルカリで売買ができるのです。

メルカリでのギガの取引価格は決められた価格帯の中でなら自分の売り出したい価格に決定できます。おそらく、相場としては2ギガが最低価格の200円で取引されるあたりで価格形成されるようになるのではないかと予測します。それはこんな計算からです。
スマホの利用者の約8割弱は月間のデータ利用量が10GB以下です(MM総研「携帯電話の月額利用料金とサービス利用実態(2025年1月調査)」)。そういった利用者がメルカリモバイルの20GBプランに加入して、メルカリで10ギガが仮に合計1000円で売れれば(2ギガ200円×5取引)利用手数料10%を支払っても900円の収入が手元に残ります。
これは計算上は他の格安スマホと比較すればとてもお得なプランになります。なにしろ回線はつながりやすいドコモ回線で、残り10GBを実質月額1490円(基本料金2390円ーギガ販売収入900円)で利用できるからです。スマホ代を節約したい格安スマホ勢としては一度試してみたいプランではないでしょうか。
ではギガを買う人たちにとっての経済性はどうでしょうか。ギガを買う人は主に2GBプランを購入した人になるでしょう。2GBプランというのは実に面白い線引きなのです。