アルコール依存症と
鬱はセット
酒は人類最古にして最悪の薬物といわれているらしい。すなわち、もっとも恐ろしい危険ドラッグということだ。
酒の習慣性は違法薬物を凌駕するという。しかもなんといっても合法であり、未成年の飲酒禁止以外に規制はなく、金さえ払えば誰でも簡単に入手することができる。
現在、我が国のアルコール依存症の患者数はおよそ100万人だそうだ。予備軍はさらにその10倍の1000万人といわれるが、中には私のように頑なに依存症だと認めなかったくせして、明らかに依存症の人間が星の数ほどいるはずだから、もしかするともっと多いかもしれない。
断酒をして知ったのは、アルコールは人の心を支配するという事実だった。
呑んでいるとき、酔っているとき、酩酊しているときのみならず、素面の状態で日常生活を営んでいるときも、実はアルコールによって脳が操られている。
酒をやめたいと思っても、なかなかそれができない。
いや、やめなくてもいい。多少は健康を損ね、寿命を短くしても、やっぱり呑んだほうがいい。だいいち酒のない人生なんて寂し過ぎるじゃないか。
そんなことを思ったとすれば、すでにその人はアルコールによって心をコントロールされているのである。飲酒による、さらなるドーパミンの分泌を脳が欲しているということだ。だから依存症とは脳の病気といわれる。
もちろん肝臓や他の臓器にも悪影響を与えることはたしかだが、それ以上に深刻なのは、アルコールが脳細胞を破壊し、脳を萎縮させることだ。すでに定説となっているし、飲酒量に関係なく起きるという。
とりわけ、多量に酒を呑むものの、肝機能の数値に異常が出ないタイプの人は、そのぶん脳にダメージがまわっているという。つまり肝臓が積極的に解毒の働きをしないぶん、アルコールの脳への滞留時間が長くなるからである。
飲酒による脳細胞の死滅や脳の萎縮は、たとえば毎年の総合健診による血液検査では判定できないから、脳ドックなどの専門医療機関にかかる必要がある。
さらにメンタルの問題もある。