著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、後にお気に入りの最高経営責任者(CEO)の一人となる男の名を、彼の会社の買収を決めるまで一度も聞いたことがなかった。バークシャー・ハサウェイを率いるバフェット氏は20年前のある日、ネブラスカ州オマハのオフィスにいた。そこに突然、2ページのファクスが届いた。「フォレストリバー」というRV(レクリエーショナル・ビークル)メーカーを、次の買収候補にしてはどうかと持ちかける内容だった。当時、バフェット氏はアウトドアを楽しむキャンピングカーなどのRVビジネスについて初歩的なことも分からなかった。つまりピート・リーグル氏の名前も知らなかったのだ。だから取引の相手が「RV業界におけるマウントラッシュモアに刻まれたジョージ・ワシントン」(ある友人いわく)だとは思ってもみなかった。