
確定申告シーズン真っただ中だ。「経営の神様」稲盛和夫氏は「脱税することなく、税金をきちんと払え」と言い続けたことで知られる。そんな稲盛氏が、税務署に激怒したエピソードとは?(イトモス研究所所長 小倉健一)
働けど働けど…重すぎる税負担にうんざり
確定申告の季節である。
数年前に会社組織から独立するまでは、私は自分が払う税金にあまり関心がなかったが、毎年、年が明けると憂鬱になる。
国民負担に財政赤字を加えた潜在的国民負担率は、2023年度の実績値で50.0%だった。つまり、私たちの働いた分の半分は税金として持っていかれる。
しかも、この国民負担には、再エネ賦課金のように「税」という名前がついていないが、実質的に「税金」であるものは含まれていない。したがって、実際には稼ぎの半分以上を政府に取られていることになる。
日付に換算すれば、1月から6月までは税金のために働いている計算になる。なんともバカらしく感じるのは、私だけなのだろうか。
京セラやKDDIを創業し、日本航空を再建して「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏は、税金について「脱税することなく、きちんと払え」と口うるさく言っていたことで知られている。
節税ばかりに躍起になる企業経営者の姿勢が、稲盛氏の癇に障ったのだろう。「日経ビジネス」1975年12月8日号の『「税金なんかアホらし」では伸びぬ』と題するインタビューでは、次のように語っている。