一方、与党は、野党のために「みやげ法案」を用意することもあります。「みやげ法案」は野党の通したい法案であり、それを通すことで、重要法案を通過させるよう取引するのです。
そして、国会議員が最もおそれる隠語は「紫の袱紗(ふくさ)」。これは、衆議院の解散を意味します。首相が衆議院を解散したとき、天皇から解散の詔書が発せられます。この解散の詔書には、紫の袱紗がかけられているところから、この隠語が生まれました。
法案は、現実には、誰がどうやって作っている?
国会にかけられる法案には2つの種類があり、ひとつは「政府立法」で政府(実質的には各省庁の官僚)が作る法案のことです。もうひとつの「議員立法」は、国会議員が作成する法案です。
これらの法案の作成・国会提出の手順は、「政府立法」と「議員立法」では少し違います。
まず、政府立法は、各省庁の官僚が原案を作成し、関係する他の省庁や内閣法制局と内容を協議、チェックします。そして、法案が固まると、与党の審査にかけ、ここで実質的に決定されます。それを閣議に上げ、大臣がサインしたら、法案の国会提出となります。
一方、議員立法は、議員個人が法案を作成します。しかし、法案を書いても、国会提出までには多数のハードルがあります。
まず、衆議院の法制局などと協議して、他の法律との整合性などをチェック。そして、議員が国会に法案を提出するためには、衆議院で20人以上の議員の賛成、参議院なら10人以上の議員の賛成を得ることが必要になります。
予算を伴う法案では、衆議院で50人以上の議員の賛成、参議院なら20人以上の議員の賛成を得ることが必要になります。1人や2人では、法案を国会に提出することもできないのです。
許認可権って、何をどうすること?
各官庁は、民間などの活動に関して、さまざまな「許可」と「認可」の権限を握っています。合わせて「許認可権」と呼びます。
まず「許可」は、役所が国民に「これをしてもいい」と許可を与える権限で、代表的なものに運転免許や医師免許などがあります。もし、役所の許可を受けないでその行為をすると、罰を与えられます。
一方、「認可」には、鉄道運賃や航空運賃の認可、公共料金の改定などがあります。たとえば、鉄道会社が役所の認可を得ることなく、料金の値上げを発表しても、それは無効です。