技術上の大きなポイントは、FCシステムと駆動用モーター&ギアボックスを一体化した点にある。これによりガソリン車のエンジンマウントをそのまま使うことが可能となり、専用プラットフォーム化する必要がなくなった。この利点はNV(騒音と振動)性能の向上にもつながったという。
大容量のIPUバッテリーはPHEVと同様に床下に配置。水素タンクは居住性、走行安定性、衝突安全性などを考慮して車両後部にレイアウトされた。リアシートの下と後方に横向きで計2本の水素タンクを搭載している。
先発のトヨタのFCEV(MIRAI)は中央部にもう1本、縦向きに配置。合計3本のタンクを搭載している。水素容量を稼ぎ、航続距離の増大を図るためである。しかしパッケージング上、その影響は小さくなかった。
その点、CR-Vはタンクの本数こそ及ばないが、車内は広く居心地がよい。この点はむしろ強みといえそうだ。ちなみに1充填当たりの走行距離は約621km、充電時BEVとして61kmほど走ると公表されている。
CR-Vはラゲッジスペースも実用的だ。水素タンクをリアシート後方に搭載するとトランクが狭くなるが、それを逆転の発想でプラスに転換した。フレキシブルボードとフォールドダウン式リアシートを採用し、新しい使い方ができるよう工夫している。
このような話題とともに誕生したCR-V e:FCEVは、アメリカのオハイオの工場で生産。日本では輸入車としてリース販売される。ただし、日本への割り当ては年間70台に限られる。
ナチュラルで心地いい走行フィール
最先端クリーンカーは実に完成度が高い
スタイルは標準CR-Vと少し異なる。システムを搭載するため、ベース車に対してフロントオーバーハングが120mm伸ばされているからだ。ボディカラーはホワイトと濃いグレーの2色のみとなる。
車内は、FCEVとしての情報や充電情報が表示できるほか、ステアリングホイールには触感のよい合皮が、シートにはバイオ合皮が採用されている。先進性の演出はあえてされていないが、各部の質感は高く、作りもいい。