エネルギーマネージメントのモードは4タイプから選べる。FC電力とバッテリー電力を自動で最適制御するAUTO、バッテリー残量を維持するSAVE、FCからバッテリーを充電するCHARGE、十分に充電されている状態でバッテリー電力を優先して使うEVだ。これはコンソール部のスイッチで切り替える。
ドライブフィールは心地いい。扱いやすく十分に力強い。静かで滑らかなフィーリングだ。低速から310Nmのトルクを安定して発揮するモーターにより、極めて車速のコントロールがしやすい。
驚くほど速いわけではないが、これだけ意のままに走ってくれればまったくストレスはない。ノーマルモードでも不満はなく、スポーツモードを選択するとアクセルレスポンスがより俊敏になる。
充電モードでもシステム作動音が高まらないのはFCEVなればこそ。もちろん排出ガスやCO2を出すことなく、出るのは水だけ。それは走行時も、外部に給電するときも同じだ。心理的な負担がなく、環境に貢献している実感が持てる。
フットワークは自然で、重々しさはない。標準CR-V(HEV/2WD)に比べて重心高は11mm低くなっており、重量配分についてもフロントヘビーかと思いきや、0.8%と微増にとどまっている。これらによりロールの遅れは小さく、一体感のある走りを実現している。
プラグイン充電
次世代の主役
ボディも実にしっかりとしている。さまざまなコンポーネントの搭載に対応した車体強化を行い、全面にフロアカバーを配して標準CR-Vと同等の空力特性を実現。フロントのボトムにスポイラーやストレイキを追加して、接地感と直進安定性の向上を図った。
FWDモデルながらオフロード走行にも配慮されており、最低地上高は29.2mm減となるものの169mmを確保。アプローチアングルやランプブレイクの落ち幅は小さく、デパーチャーアングルはむしろ拡大しているというから驚く。
FCEVに興味があっても、インフラ整備の関係で購入を断念していたユーザーにとって、プラグイン充電ができるようになったことは、背中を押す大きな一歩。実際にドライビングして次世代の主役と感じた。
(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗)