丸亀製麺など6社が初ランクイン
ブランド価値が伸びた共通点は?

 総合ランキングトップ5は、トヨタ自動車、本田技研工業(ホンダ)、ソニー、ユニクロ、日産自動車で、自動車メーカーが上位を占めた。トヨタは17年連続の1位を獲得した。

 また、前年比ブランド価値成長率でランキングすると、トップ5はアシックス(総合46位、前年比+28%)、三井不動産(同60位、同+26%)、リクルート(同13位、同+24%)、日立製作所(同26位、同+24%)、オリックス(同71位、同+22%)だった。また、東京エレクトロン、伊藤忠商事、ドン・キホーテ、SBIホールディングス、ANA(全日本空輸)、丸亀製麺が初めてトップ100位にランクインした。

 前年より20%以上の大幅な成長を遂げたブランドは8つであり、昨年の2ブランドから大きく増加した。2桁成長を記録したブランドは24ブランドで、昨年の22ブランドを上回った。

 一方で、2桁のマイナス成長となったブランドは資生堂、セブン-イレブン、シマノ、オムロン、野村證券、JAL(日本航空)、アステラス製薬、ニコンの8つあり、昨年の4ブランドから倍増した。これにより、ブランドごとの成績に明暗が分かれる結果となった。

 ブランド価値を大きく伸ばしたブランドの共通点を分析すると、消費者のニーズを喚起する力を測る「ブランド強度分析」の10要素(志向力・結束力・共感力・俊敏力・独自性・整合性・共創性・存在感・信用度・愛着度)のうち、「俊敏力」「愛着度」「共感力」の3つが特に高い傾向にあることが確認できる。

 俊敏力とは、組織としてビジネス機会や課題に対応し、期待を超え続けるために迅速に動く能力を指す。愛着度は、ブランドが提供する機能的・情緒的価値や価値観の共有を通じて、顧客がブランドとの絆を感じる度合いを示す。共感力は、組織として顧客や他のステークホルダーの声を積極的に聞き、彼らの進化するニーズ・思い・欲求を先んじて予測し、それに応える能力を意味する。

 外部環境への迅速かつ柔軟な対応の重要性は依然として変わらない。しかし、政治や経済、環境問題などの逆風に立ち向かい、生活者一人一人と向き合いながら、社会や人々の本質(真理)を捉えることが求められる。

 さらに、どのような未来を実現するのかを明確に示し、人々と共に創り上げていくことが重要である。そのためには、従来とは異なる新たなステージで「ヒューマン・セントリック」(人間主体)を実践することが、ブランド成長の鍵となる。