会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか？ 責任をとること？ 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること？
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。
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モチベーションは上げるものではない
「部下が自分から動かない。やる気が感じられないんだよな。」
こんな悩みを抱えているリーダーは多いと思います。そして、そんな部下に対して「どうやってモチベーションを上げようか」と考えてしまいがちです。飲み会に誘おうか、プライベートの話を聞いてみようか、はたまた研修に行かせようか......。
ぼくは、この「部下のモチベーションを上げよう」という発想そのものが、昭和的なリーダーシップだと感じています。
なぜでしょうか？
それは、「自分から動かない＝モチベーションが足りない」と決めつけているからです。仮に、リーダーから見て「自分から動かないメンバー」がいたとしても、それは必ずしもやる気の問題ではありません。まずそれを認識しなければ完全に「昭和のリーダー」になってしまいます。
やる気が感じられない本当の理由
「やる気が感じられない部下」がいるとき、多くのリーダーはその原因をメンバー側に求めがちです。「最近の若い世代は……」「根性がない」「責任感が欠如している」など。
しかし、実態はまったく違います。
これまで研修や組織作りでいろんな組織を見てきました。それらの現場で、「やる気がない」と思われていたメンバーのほとんどは、やる気がないのではなく別の部分で迷っているだけでした。たとえば、
「何をやればいいのか明確になっていない」
「どうやったらうまくいくのかわからない」
「自分の仕事の意味や価値が見えない」
「失敗への恐怖から行動できない」
などです。
つまり、「やる気がない」のではなく、「どうしていいかわからない」状態なのです。そして「自分から動かない」のではなく「動けない」のです。
たとえば、営業職の若手メンバーに「もっと積極的に動け」と言っても、「積極的に動く」とは具体的にどういう行動を指すのかわからなければ、動けるはずがありません。「自分で考えろ」と言われても、考えるための材料や枠組みがなければ、考えようがないのです。
