「レシピ通りに作ったのに、なんだかおいしくない……」そんな経験はありませんか? それは、レシピをシンプルに見せるために、「料理上手なら感覚でわかる」と省かれた大切なポイントがあるからかもしれません。書籍『レシピ未満のおいしい食べ方』では、これまでのレシピ本には書かれなかった、「料理をおいしくするためのコツ」やポイントをわかりやすく解説。さらに、ひとつの食材で作れる料理、火を使わずにできるもの、直感的に作れるシンプルな調理法など、「レシピと呼ぶには簡単すぎる」食べ方を通じて、一生モノの「料理の秘訣」が身につきます。今回は多くの人が誤解している、おいしい下ゆでの仕方について紹介します。(監修/料理研究家・管理栄養士 藤井恵)
例えば、レシピ通りに野菜を下茹でするなら?

野菜は、下ごしらえとして塩ゆでをすることがよくありますね。
レシピ本には、「ゆでておきます」などと、さらっと書いてあることがほとんどですから、深く考えず、たっぷりの湯でゆでていないでしょうか?
そうすると、レシピ通りではありますが「なんだかおいしくない……」なんてことがあります。
レシピには詳しく書かれていませんが、おいしくゆでるコツは、少ない湯で蒸すようにゆでること!
たっぷりの湯より風味や栄養が逃げにくく、おいしさがギュッと凝縮されます。

湯の量は、写真のように、野菜の頭が少し見えるくらいが目安。思っていたよりもかなり少ない量かもしれませんが、少なければ、お湯もすぐにわきますから、時短にもなります。
また、ゆでるときの塩の量も大切です。
蕾があるブロッコリーのようにゆで汁が入りやすい野菜なら2%(水400gで塩8g)、アスパラやいんげんのように表面がつるっとした野菜なら3%(水400gで塩12g)が適量。
塩の量が適切だと、驚くほどおいしくなります。
ゆで方は、ブロッコリーなら茎から入れ、再び沸騰したら蕾も加えます。
ふたをして時々上下を返しながら、1分~1分30秒ゆでたらざるにとって、水にはさらさず、そのまま粗熱をとりましょう。
ブロッコリーの蕾の中は土や虫が入りやすいところなので、調理前に必ず水にさらしてください。買ってからすぐに使わないときは、まるごと蕾を下にして水にさらしてから保存するといいでしょう。
塩ゆでは下ごしらえとはいえ、実は上手にゆでられれば、そのゆでたてはすごくおいしい!
野菜の甘みや旨みをそのまま味わえる、とても贅沢な食べ方になりますから、ぜひ試してみてくださいね。
料理が苦手、時間がかかる、レシピ通りに作ったはずなのにおいしくない……という人は、詳しく書かれていないところで失敗してしまっているのかもしれません。今回でいえば「少なめの湯」にすることは、おいしさだけではなく、時短にもつながっています。下処理とはいえ、うまくできればそのまま食べるだけでおいしい1品にもなるので、さらに味付けをしたりして特別なもを作る必要さえなくなります。大事なことが全てレシピに書かれているとは限りません。料理上手な人が、手早くおいしいものを作れるには理由がある、と思ってやってみてくださいね。