高齢者が自宅で転倒・骨折を起こし、そのまま要介護状態や寝たきりにつながるケースは決して珍しくありません。『国民生活基礎調査令和4年』(厚生労働省)によると、要介護になる原因の13%は「転倒・骨折」によるもので、「認知症」23.6%「脳血管疾患」19%に続く結果となっています。自宅の段差解消や手すり設置などだけでなく、「家具の置き方・選び方」が大きく影響する点は見落とされがちです。
●住まいの点検が段差だけで終わっていないか
高齢者が自宅で転倒する原因として、まず疑われるのが玄関や部屋の小さな段差、浴室の滑りやすい床などです。しかし手すりを設置するなど、バリアフリーを徹底しても、リビングやキッチン、寝室における家具配置が悪ければ安全とは言い切れません。
●家具の角や突起物が「見えにくい」問題
加齢によって視力が低下すると、家具の角や突起を見落としやすくなります。大きすぎるソファやダイニングテーブル、通路を圧迫するキャビネットやタンスによって、歩くスペースが狭くなり、足をぶつけるリスクを見逃していませんか?
家具配置で転倒リスクを減らす3つのポイント
住まいをバリアフリーにしても、家具選びやレイアウトが悪ければ転倒リスクは減りません。家具配置のポイントは主に3つあります。
(1)家具サイズと「通路幅」のバランスを最優先に
高齢者の住宅は、最低でも60cm以上の通路幅を確保するのが理想です。車いすや歩行器を使う可能性を考えると、さらに広い通路(80~90cm以上)があれば安心できます。
家具を買う時は、見た目や機能性に注目しがちですが、「今の部屋に置くと通路幅がどれだけ確保できるか」をイメージして選ぶことが重要です。
ソファやダイニングテーブル、タンスを配置する際、「壁との通路幅」を測ってみましょう。歩きやすいか、実際に試してみてください。