中国経済「不動産バブル崩壊」と「コロナショック」で激変した消費マインドとビジネスチャンス中国・重慶で、シャッターを下ろした入り口の上に「For Rent」の看板が掲げられた閉店した薬局の前を歩く歩行者。この薬局の閉鎖は、現在進行中の経済的課題と小売業界の変化を反映している Photo:Cheng Xin/gettyimages

中国経済の2024年の成長率は政府目標をクリアしたものの、引き続き厳しい状態だ。「不動産バブル崩壊」と「コロナショック」が旺盛な消費マインドを一変させ、消費行動の変化を引き起こしている。消費マインドの変化をビジネスチャンスに変えるポイントは何か。(山田コンサルティンググループ中国現地法人総経理 平井孝明)

中国経済は5%成長目標クリアもばらつき大
25年は引き続き厳しい状況に

 中国国家統計局が発表した2024年の実質国内総生産(GDP、速報値)の成長率は前年比5.0%であった。23年の5.2%からは鈍化したものの、政府目標として掲げていた5%前後はクリアしたことになる。しかし実態を精査すると、地域によるばらつきが大きい。

 また、25年の成長目標については、31省・自治区・直轄市の過半数が前年より目標値を引き下げている。25年の中国の経済環境は引き続き厳しい状況になると予想される。

 主要経済指標を見ても、中国経済を牽引していた不動産開発投資が軒並みマイナス成長となり、経済成長の足かせとなっている。住宅価格の下落も止まらず、まだ底打ちしていない。消費についても以前ほどの勢いがなく、消費関連指標は総じて弱い状況が続いている。

 中国経済が弱い原因について一言で語ることはできないが、 「不動産バブル崩壊」と「コロナショック」の影響は大きい。この2大ショックが、以前のような中国人の旺盛な消費マインドを一変させ、消費行動の変化を引き起こしているのだ。