自分の“違和感”を表に出していくことも大切
続いて、今回の「バリューミュージカル研修」に立ち会った、株式会社VALUE執行役員の池内信弘さんにも話を伺った。池内さんは、プレミアグループの創業時から同グループの“人財”育成に関わってきたが、社員となったのは、2024年5月。なぜ、そのタイミングで、プレミアグループに在籍しようと思ったのか?
池内 プレミアグループの社員に対して、私が、よりいっそう「伴走したい」と思ったからです。創業時から、私は、グループのバリューである「強い、明るい、優しい」を、研修でどうやって浸透させるかを外部の者として考えてきました。研修に参加した人たちが、バリューを自分の中にどう浸透させるか、さまざまな研修のつながりから、社員の能力をどうしたら引き上げられるか――そうしたことを、さらに深く考えていきたいと思うに至りました。
人間の成長には「垂直」と「水平」があると私は考えます。人間力を養うにあたっては、垂直(縦方向)に広がっていく成長が必要で、そこにはマインド的な要素が関わってきます。今回の「バリューミュージカル研修」は、そのための研修です。一方、社員の知識やスキルを広げていくことも必要で、eラーニングや座学の研修を取り入れて、「垂直」と「水平」に成長する人財育成を行っていきます。
池内さんは、「バリューミュージカル研修」に立ち会ったのは初めてだが、今回の研修受講者たち(入社3年目社員)の入社時に、彼ら彼女たちの「新入社員研修」を担当している。
池内 当時も、素晴らしい能力を持っている社員たちだと思いましたが、久しぶりに彼ら彼女たちに会って、やはり、そのポテンシャルはすごいと感じました。……ですが、一方で、「本当に自分の殻を破れているのかな?」とも。たしかに成長はしているのですが、どこか、きれいにまとまり、こぢんまりしてしまった印象もありました。入社時のほうが、「あれをやりたい!これもやりたい!」と、意欲的だったのでは? でも、今回のミュージカル研修でダメ出しをされながらも、あきらめずにやってみようという強い姿勢が見られたので、まだまだ意欲的に成長していくことでしょう。
また、自分自身で、「変わりたい、成長したい」と思っても、職場の環境次第で伸び悩むこともあります。そうした状況をなくすために、管理職の育成にも力を入れていきます。
池内さんは、入社1年目から3年目という期間において、新入社員はどうあればよいと思っているのか?
池内 いい意味で、若手社員は「もっと暴れていい」と思いますね。そもそも、プレミアグループは、創業時からちょっとやんちゃなところがありました。それぞれの社員の役割は決まっているものの、組織を成長させるためには“越境”も辞さずにお互いに働きかけ、誰もやっていないことを率先してやろうとする社員が多かった。最近は、過剰に理性的に、頭の中だけで考える人が増えているので、もっと、自分の感情を表に出してほしいです。今回のバリューミュージカル研修の講評で音楽座の石川(聖子)さんが言っていた、理屈ではなく感覚による“違和感”というものは、誰にでもあるはず。「違和感を大切にしてほしい」と、私自身が講師を務める研修でも、社員の皆さんに、そのことを伝えています。
厳しくも温かい目線で若手社員を見守る池内さん。今回の「バリューミュージカル研修」を終えて、入社4年目となる彼ら彼女たちに改めてメッセージを送る。
池内 プレミアグループが大切にしている「強い、明るい、優しい」というバリューは、とてもシンプルですが、そのシンプルな言葉に込められた意味を考えてほしいです。そうすると、もっと“暴れる”ことができるはず。たとえば、今回、各チームでミュージカルを創ったときに「このままだとうまくいかない」と思ったら、「リーダーを代えよう!」と提案するくらいになってほしい。それは、「結果を出せていないから、誰かに代わってほしい」「自分がリーダーになってチャレンジしてみる」という意図ですが、そうした姿勢は、組織や相手に対しての思いやりや優しさでもあります。「強い、明るい、優しい」の意味を咀嚼して、それを確実に自分のものにしてください。そして、『キャリアは自分でつかめ!』というメッセージを、入社4年目となる彼ら彼女たちに送りたいと思います。