「え、ここでニノ登場!?」二宮和也が一瞬で“明治大正の知識人”に化けた名演にザワッ【あんぱん第2回】『あんぱん』第2回より 写真提供:NHK

日本人の朝のはじまりに寄り添ってきた朝ドラこと連続テレビ小説。その歴史は1961年から64年間にも及びます。毎日、15分、泣いたり笑ったり憤ったり、ドラマの登場人物のエネルギーが朝ご飯のようになる。そんな朝ドラを毎週月から金曜までチェックし、当日の感想や情報をお届けします。朝ドラに関する著書を2冊上梓し、レビューを10年続けてきた著者による「見なくてもわかる、読んだらもっとドラマが見たくなる」そんな連載です。本日は、第2回(2025年4月1日放送)の「あんぱん」レビューです。(ライター 木俣冬)

綺羅星のごとき豪華な俳優たちが一挙登場
第2回のポイントは?

 朝ドラこと連続テレビ小説『あんぱん』(NHK)の第2回。『あさイチ』の朝ドラ受けでは紅白歌合戦にたとえていたが、ほんとうに出演者が豪華。松嶋菜々子、加瀬亮、吉田鋼太郎、江口のりこ、竹野内豊と綺羅星のごとき俳優たちが次々出てきて、第2回のラストでは、二宮和也が登場した。まるで、嵩(木村優来)が持たされたごちそうおかずいっぱいのお弁当のようである。

 まずは、物語の流れに沿って振り返っていこう。

第2回のポイント
◯昭和2年の10銭
◯ジャムおじさん
◯二宮和也
「え、ここでニノ登場!?」二宮和也が一瞬で“明治大正の知識人”に化けた名演にザワッ【あんぱん第2回】

 昭和2年、高知県・土佐の御免与駅に降り立った謎の人物・屋村草吉(阿部サダヲ)はパンを焼いて、子どもたちにただで振る舞っている。それはとてもおいしくて、朝田のぶ(永瀬ゆず)は目を丸くする。

 のぶの祖父・釜次(吉田鋼太郎)も興味をもつが、大人は10銭と言われ手が出ない。高すぎると揉める釜次と屋村。吉田鋼太郎と阿部サダヲのやりとりがおもしろい。「1銭」「10銭」と言っているだけなのに、その単語の響きで、貨幣価値が実感を伴って伝わってきた。

 実際、この時代の10銭の価値は――。『週刊朝日編 値段史年表 明治大正昭和』(朝日新聞社)を参照してみると、「おまんじゅう」(駄菓子屋で売られている並製)が大正12年に2銭。昭和11年で5銭とある。

 昭和2年ジャストの資料はないかとページをめくると、あった、「金太郎飴」(棒状のもの1本)が昭和2年で2銭。さらに「カレーライス」(都心での並製)が昭和2年で10〜12銭とある。なるほど、カレーライスと1個のパンの値段が同じとなれば、釜次がしぶるのも無理はないだろう。