地域移行へ向かう「部活動」と、将来の「認知症」との関係【順天堂大の調査より】Photo:PIXTA

 少子化や教員の負担軽減策で、部活動の地域移行――教師が無償で顧問を務める形式から、地域のスポーツクラブなどへ委託する実証事業が始まっている。

 人数が集まらず廃部に直面していた種目でも、地域の合同チームで練習や試合機会が増えるなどのメリットがある半面、指導者の確保や運用管理費の捻出など、自治体と家庭の負担は未知数だ。

 また、部活動が全面的に地域移行した場合、運動嫌いな子どもたちの参加は減るだろう。

 中学・高校時代の運動経験は将来の心身の健康に影響する。

 順天堂大学の研究グループは、東京都文京区に在住する高齢者1629人(65~84歳、男性687人)を対象にした「文京ヘルススタディー」のデータを用い、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)と、中学・高校時代(13~18歳、青少年期)と高齢期(現在)の運動習慣の有無との関連を調べた。青少年期の運動習慣に関しては「運動部の所属経験」を「運動習慣あり」と見なした。

 その結果、「青少年期も現在も運動習慣がない」と回答したグループを1とした場合、「青少年期も現在も運動習慣がある」としたグループのMCIリスクは0.62倍と有意に低いことが判明した。

 このほか、現在の運動習慣がない高齢者でも、青少年期に運動部に所属していた人は、MCIリスクが0.77倍に抑えられることも判明している。

 うつ症状との関連では、青少年期、現在の両方、もしくはどちらかで運動習慣があると、発症リスクが低下。特に男性では青少年期、高齢期の両方の運動習慣ありで、0.45倍と大きく低下した。

 研究者は「青少年期の運動習慣が脳の認知予備力を増し、認知機能の低下を抑える可能性」を指摘している。

 もちろん、高齢期に入ってから筋力トレーニングや有酸素運動を始めても認知機能の低下を抑えられるので、そのためにも若いうちに運動嫌いを克服しておきたい。

 部活動の地域移行をきっかけに、全員が楽しく参加できる「ゆるスポーツ」が広まってほしい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)