小遣いをせがむ男性写真はイメージです Photo:PIXTA

年齢とともに衰えていくのは、肉体だけではなく脳も同様だ。神経細胞は年齢とともに減少し老化する一方、脳細胞同士の連携力は年々成長するため、この連携力を強めていくことで、脳を若返らせることができるのだという。脳専門医の著者が、日常の身近な場面でできるトレーニング方法を伝授する。※本稿は、加藤俊徳『「名前が出てこない」「忘れっぽくなった」人のお助けBOOK』(主婦の友社)の一部を抜粋・編集したものです。

脳は細胞の働きの違いによって
「8つの番地」に分けられる

 脳には、実に1000億個以上もの神経細胞があります。異なる種類の神経細胞が集団で活動することで複雑な脳の働きを支えています。

 そうした細胞の集団にはそれぞれ役割があり、同じ役割をもった細胞たちは、脳の一定の場所に集まるように位置しています。

 そこで私は、細胞の働きの違いによって脳を地図に見立て、役割ごとに約120に区分し、8つの番地に振り分けました。

 これが「脳番地」です。

 神経細胞は年齢とともに減少し、老化しますが、脳番地同士の連携力は年々成長します。

 この連携力をさらに強めていくと、脳を若返らせることができるのです。

 そこでまずは、この8つの脳番地の役割を紹介しましょう。

図表:8種類の脳番地同書より転載 拡大画像表示

脳番地の中で大きな影響を与えるのは
「思考系」と「感情系」

 8つの脳番地は、いずれも左脳、右脳の両方にまたがっています。

 この中で、ほかの脳番地に最も大きな影響を与えるのが、(1)思考系脳番地と(2)感情系脳番地です。

 特に感情系脳番地は、脳の前頭葉にあり、また海馬を含めた記憶系脳番地のすぐ前にあるため、その人の人柄を決める重要な役割を担っています。

 前頭葉は目的や意思にもとづいて指示を出す機能をもっているため、感情系脳番地を上手に使いこなせば、深く考えたりすることはもちろん、必要ないと判断した情報を遮断することもできます。

 また、海馬は人間の記憶に深く関わっているので、喜怒哀楽の感情をおもてに出すと、記憶に直接影響します。