現在は社会保障給付費の上昇に伴う社会保険料の負担増などにより、現役世代の手取り年収はこの21年で43万円減少しているというデータもある。いずれにしてもこの社会保障の負担と給付の関係は見直し必至である。しかし、シルバー民主主義よろしく票田である高齢者層に厳しいこの政策を打つことに政治は腰が重い。
いずれ自分も高齢者になる。それでも今すぐにでもやるべきだ。
私は1977年生まれ、団塊ジュニア世代に続く人口のボリュームゾーンだ。同時にこの世代は就職氷河期世代でもある。非正規労働者も多くニートも多い。8050問題(編集部注/ひきこもりの長期高齢化で50代の子を80代の親が経済的にも精神的にも負担を強いられる問題)、9060問題(編集部注/8050問題がさらに高齢化して、90代の親が60代の子どもの負担を負う問題)のど真ん中だ。未婚男性の平均寿命は68歳というデータもある。2040年に向けて独居老人は増え、生活保護も増え、孤独死も増えるだろう。介護、医療において単純な手続き数が増えるだけでなく、様々な社会問題が発生し、それによる自治体の仕事はさらに増えることが見込まれる。しかも加速度的に。
2040年に訪れるディストピアを
回避するためにできることとは

古見彰里 著
このままの社会保障制度で行けば、この世代が高齢者になる2040年は今と比べものにならないくらい社会保障の負担と給付の関係がアンバランスになる。それは、2040年の20代・30代に迷惑をかけることになる。子供を持つものとして、自分の子供の世代にそのような負担をかけたくない。2040年とはそんなタイミングなのだ。
そんなディストピアを想像してしまう。そうならないために、公共サービスの供給スキームを早急に変えていかなければならない。高齢者も含めてすべての国民が公共の当事者として今すぐに建設的な議論をすべきだ。
就職氷河期世代は時代の割を食っている世代だ。直前のバブル世代と違いバブル崩壊による不景気により就職できない。失われた30年で所得はずっと上がらない。ここに来ての賃上げは若手世代が優先で給与逆転現象が発生している例もある。おそらく高齢者になるタイミングでは医療費負担なども現役と変わらないレベルになるだろう。
それでも子供の世代に迷惑をかけないために、この世代には最後まで割を食う覚悟が必要だろう。そして、それを押し進めていく仕事が私の最後の仕事になるかもしれないという覚悟は持っている。
将来にわたって公共の福祉を守ること、そのために様々な改善を提案し、実行していく。これが自治体を含めた公共の仕事に関係する者たちすべての大きなミッションだと私は思う。