トランプ関税地獄#1Photo:Andrew Harnik/gettyimages

市場の予想を超えた規模や税率
「米国の貿易赤字縮小」自体が狙い

 トランプ大統領が4月9日に発動した「相互関税」政策は、これまでの国際貿易体制を大きく揺るがすものだ。

 全輸入品に対して一律10%のグローバル関税を課すことを基本とし、さらに57カ国・地域に対しては11%~104%の追加関税を適用するという市場の予想を超えた内容で、対象国には、米国の貿易赤字が大きい国や「不公正な貿易慣行」があると見なされた国々で、日本も24%の追加関税が課されることになった。

 一連のトランプ関税による日本経済への影響は、米国向けが最大の輸出シェアである輸出を下押し、4兆~5兆円程度のマイナス効果(関税負担の増加)が見込まれる。

 ほかにも設備投資下押しや株価急落などによる消費者マインド落ち込みなど、経済・金融市場に多面的な影響を及ぼすことになりそうだ。

 注意すべきは、一連の関税措置は単なる交渉のカードや“不公正な貿易慣行”の是正を狙ったものでなく、「米国の貿易赤字縮小」自体が目的で、それを実現するために世界の貿易・経済体制の再構築を企図したものということだ。

 影響は長引くと予想され、日本企業にとっては短期的な対応だけでなく中長期の戦略見直しと再構築が重要になる。