かつての仲間が店を訪ね、2人の料理を食べてしばし絶句し、こう言った。

「昔は自分のほうが料理が上手いと思っていたけど、2人のほうがずっと上でした」

 人よりも動きが遅く、声も小さくて、先輩に叱られてばかりいた女の子は言った。

「私はこの仕事がダメだったら終わりだったから、ほかの仕事がなかったから、頑張るしかなかったの」

 自分の状況を自覚し、時間をかけて努力すれば、才気煥発な人間に勝つことができる。改めて教えられたものだ。

 自分には才能がない。力がない。何をやってもうまくいかない。誰もが1度や2度はこんなふうに落ち込んだことがあるだろう。

 劣等感とは自分が他人より劣っているという感情である。つまり、劣等感を抱くのは、自分がもっとよくなりたいと思っていることの裏返しだ。自分をより高いレベルに引き上げたいという意欲があるから有能で魅力的な人のことが気になるし、自分の欠点も見えてくる。

 劣等感を感じたら「よし、自分には向上心がある、頑張ろう」と前向きに考える努力をしてほしい。

 そもそも悩み多き人であることは決して悪いことではない。物事を深く考え、自分自身を省みたり、他人との関係を改善したりする起爆剤となり得るからだ。苦悩を乗り越えることで人間的にも成長する。

 つまり、劣等感を持つということは、自分自身と向き合うチャンスを得たということである。

「私は無能だ」と悩んでいる人には可能性がある。だから「大いに悩みなさい」と私は言いたい。

 満足するところに、進歩などない。より高きを目指して、困難に立ち向かおうではないか。

 他人との比較はたいていにおいて無駄であることが多いが、それを目標にしたり、励みにしたりするときには力になる。悩み、自分の欠点を自覚した上で、大きな1歩を踏み出そう。

人と比べても仕方がない!
自分を肯定的に見ることが大切

人との競争ほどツマラナイものはない。
人生に比較はいらない。
自分に対する評価は自分自身で下すのだ。

 他人のしていることが気になって仕方がない。

 他人にどう思われているのか気になってしまう。

 普段はそうでもなくても、ときどきこういう状態におちいることはないだろうか。

 自分の仕事に対する他人の評価が気になり、また他人のしている仕事がうらやましく思えたりする。

「上司は私のことを認めてくれているのだろうか」

「自分はまわりからデキると思われているだろうか」