部下と共に「正解」を創造するリーダーシップ

 そこで登場するのが、個知(コーチ)課長です。彼女は、ティーチ課長とは異なるリーダーシップ・スタイルで、私はそれを「共創型」リーダーシップと名づけました。
 ティーチ課長のような「教示型」リーダーとは根本的に異なり、部下に“正解”を「教示・アドバイス」するのではなく、部下と共に正解を創造しようとすることから「共創型」と名付けました。それでは早速、コーチ課長とノビル主任のミーティングを覗いてみましょう。

【マンガでわかる】「アドバイスしたがる」リーダーほど、部下を育てられない“納得の理由”
【マンガでわかる】「アドバイスしたがる」リーダーほど、部下を育てられない“納得の理由”
【マンガでわかる】「アドバイスしたがる」リーダーほど、部下を育てられない“納得の理由”
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【マンガでわかる】「アドバイスしたがる」リーダーほど、部下を育てられない“納得の理由”
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 個知(コーチ)課長のマンガをご覧になっていかがだったでしょうか?

 手市(ティーチ)課長の「教示型」スタイルとは、かなり異なるニュアンスを感じていただけたのではないかと思います。

 もしかすると、皆さんのなかには、このコーチ課長のスタイル、すなわち「共創型」リーダーシップが、1990年代に日本へ輸入された「コーチング」の技法に似ていると感じた方もいらっしゃるかもしれません。もちろん、コーチ課長のスタイルのかなりの部分で「コーチングの技法」が使われています。だからといって、それは当時の「コーチングの技法」をそのままなぞっているわけではありません。その技法をベースとしながらも、そこに、さまざまなカウンセリングの理論や技法を盛り込み、これまでとは異なるスタイルとなっているのです*。

 そして、「共創型」は、上司が知っている「正解」を部下に教えたり、伝えたりするのではなく、読んで字の如く、上司が部下と対等な目線で、共に「正解」を創り上げるというリーダーシップ・スタイルです。

「教示型」が、「上司」の正解を「伝える」ことであり、
 1990年代に輸入された初期のコーチングが、「部下」の正解を「引き出す」ことだとすれば、
「共創型」は、「上司と部下」で「まだ存在しない正解」を「共創する」ことと言えるでしょう。

 そして、これからの時代は、「共創型」リーダーが求められると、私は確信しているのです。

(この記事は、『優れたリーダーはアドバイスしない』の一部を抜粋・編集したものです)

小倉 広(おぐら・ひろし)
企業研修講師、公認心理師
大学卒業後新卒でリクルート入社。商品企画、情報誌編集などに携わり、組織人事コンサルティング室課長などを務める。その後、上場前後のベンチャー企業数社で取締役、代表取締役を務めたのち、株式会社小倉広事務所を設立、現在に至る。研修講師として、自らの失敗を赤裸々に語る体験談と、心理学の知見に裏打ちされた論理的内容で人気を博し、年300回、延べ受講者年間1万人を超える講演、研修に登壇。「行列ができる」講師として依頼が絶えない。また22万部発行『アルフレッド・アドラー人生に革命が起きる100の言葉』や『すごい傾聴』(ともにダイヤモンド社)など著作49冊、累計発行部数100万部超のビジネス書著者であり、同時に公認心理師・スクールカウンセラーとしてビジネスパーソン・児童生徒・保護者などを対象に個人面接を行っている。東京公認心理師協会正会員、日本ゲシュタルト療法学会正会員。