私の場合は、JAXAを退職した後になって初めてハローワークに行きましたが、もっと早めに行く手もあったと思います。定年前に退職するからには、転職すると決めて、ハローワークに行ってみる。

 いまなら、仕事探しの第一歩は転職サイトなのでしょうね。

 いずれにしても、今の会社にいながらにして、仕事探しをすると、「あなたのスキルはなんですか」と問われる。これに答えるのは、結構大変です。

 まさに、疑似的な失業体験になると思います。

「私は経理しかできなくて…」
そんな人がすべき発想の転換

「私は事務職なので、手に職が付いているわけではないし……」と卑下する人もいます。でも、中高年って、もっと自信を持っていいと思うんです。

「私は経理しかできなくて」じゃなくて、「30年積み重ねた経理畑の蓄積がある」と評価軸を変えてみる。

 経理担当として間違いなく力があり、新人が来たらちゃんと教えられるくらいの能力もある。

 だから、まったく卑下する必要はない。

 そこに自信を持てたら、それを自分のスキルとして見いだし、仕事探しにおいて自分のアイデンティティとして大事に持っておくといいと思います。

 定年前退職を考えるとき、転職先を探すに当たって、どこか1社に就職するケースは選択肢として多いと思います。この場合、会社Aから会社Bへと勤め先を変えるだけですから、帰属欲求は間違いなく満たされます。属する組織が変わるだけですから。

 一方、私は1カ所だけに定住するという安定性よりも、いろいろな企業や団体のアドバイザーや顧問として契約を結ばせていただき、複数の仕事に関わりながら自分のやりたいことをフレキシブルに追求する道を選びました。

 ダイナミックにキャリアを選んでいけるという意味では、複数の職場と関係を持つことは、ありだと思うんです。