半径5メートル以内の環境を
会社を挙げて整える
結局、人間の悩みって半径5メートルの範囲内で起きているわけです。
その範囲内でうまくいけば、人間は不満にならない。
理想的な職場とは、上司が部下の役割や期待している業務内容を明確に示し、部下が納得できる職場なんだろうと思います。
そのために、会社を挙げて環境整備をする必要があります。
社員が職場の半径5メートル内において、安心してそこに居られることが何よりも大事なんです。
逆に、「こんなこと言うとバカと思われるんじゃないかな」「これを言うとネガティブなやつと嫌われないかな」みたいに思わせる職場は、社員が職場に受容されていないと感じますから、心理的安全性を担保しません。
理想とは程遠い、多様性が生きてこない職場環境です。
もう1つ、理想的な職場環境を語るときに大事なポイントがあります。
せっかく才能を持って転職したのですから、その才能の鋭さを摩滅させない職場が理想的といえます。
転職してきた中途入社の人は、以前の会社で培ったスキルに魅力があったからこそ採用してもらったのに、入って1年2年経つと、誰よりも転職先の会社の人っぽくなっちゃう。そんな話をよく聞くんです。
「めっちゃ馴染んでます」なんて流行りのCM、ありますね。馴染む方が心理的安全性という意味ではいいのかもしれないですけど、それでは転職してきた意味が失われます。
そういう意味では、転職して新しい職場に入る人と、大学を出て初めて就職する新入社員は、実は同じなんだろうと思うんです。
新入社員の場合、周りに知らない人たちがたくさんいて、自分でもよく分からない状態のところから始まりますよね。それはまるで小さな多様性社会に入っていくようなものかもしれません。
多様性社会なら、主流派がいて、異質な人をどう受け入れていくかという話になります。