では、これから万博を楽しもうという人たちはどのような「事故」に注意すべきか。個人的に不安に感じているのは「メガソーラー火災」である。

 ご存じの方もいるかもしれないが、大阪万博の西側エリアにはメガソーラーがある。住友電工や大阪信用金庫などの日本企業11社が参加した「大阪ひかりの森プロジェクト」によるもので、その敷地は15ha。東京ドーム3個分にも及ぶ広さだ。約3200世帯分の年間電力消費に相当する約10メガワットを発電する。平成25年10月のスタート時のソーラーパネルは3万6480枚だった。

夢洲メガソーラーの位置を示す画像夢洲メガソーラーの位置(画像は大阪市HPより)

 もしこの夢洲メガソーラーで火災が発生した場合、大阪万博会場は阿鼻叫喚の大パニックが引き起こされてしまう恐れがある。

 まず、問題なのは「メガソーラー火災はなかなか鎮火できない」という事実があるからだ。例えば昨年4月、宮城県仙台市青葉区の「西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所」で何かしらの原因で、ソーラーパネル下の草が引火して火災が発生。ポンプ車など36台が駆けつけて消火活動をしたが鎮火まで22時間かかっている。

 その1カ月前には鹿児島県伊佐市にある「ハヤシソーラーシステム高柳発電所」で蓄電池が発火したと見られる火災が発生。こちらも鎮火まで20時間以上かかっている。

 では、なぜこんなに時間がかかるのか。元麻布消防署長 坂口隆夫氏はメディアの取材にこう答えている。

「メガソーラーの火災というのは、一つは放水をやっているときに感電をする。パネルの一部が残っていれば、夜間であっても電気の光だとか、火災の炎の光によって発電しちゃうんですね」(FNNプライムオンライン 24年4月16日)

 このような形でメガソーラー火災が長引くことで心配されるのは「爆発」や「有毒ガスの発生」である。先ほど触れた鹿児島のメガソーラー火災では、施設内に併設された大容量のリチウムイオン蓄電池設備のある建屋内で爆発が起きて、消火活動中の消防職員4名が負傷した。

 これを受けて消防庁が「電気設備等における警防活動時等の留意事項について」という以下のような通達を出している。