「電気施設の火災は、感電危険や絶縁被覆等の燃焼による有毒ガスの発生など消火活動上の困難性・危険性が高く、安全管理上特段の注意を払う必要があります」

 つまり、もし夢洲メガソーラーで火災が起きた場合、太陽光パネルや蓄電池、配線などが燃えることで発生する有毒ガスを、すぐ近くの万博会場にいる数万人が吸い込んでしまう恐れがあるのだ。

「さっきから黙って聞いてれば、鎮火まで時間がかかるとか不安を煽っているけれど、そもそもメガソーラー火災なんて滅多に起きるもんじゃないだろ」と冷笑される方も多いだろう。

 おっしゃる通りで、筆者も全国各地にあるメガソーラー全てにこんなリスクがあるなどと思っていない。ただ、夢洲のメガソーラーに関しては、火災が発生しやすい特殊な要因があるので、用心するに越したことがないと言いたいのだ。

 ここまで言えばお分かりだろう。そう、「メタンガス」だ。

 4月6日のテストラン当日、万博協会が引火すれば爆発の恐れがある濃度のメタンガスが検知されたと発表して一時、来場者の立ち入りを規制した。付近にキッチンカーが並ぶエリアということもあって「シャレにならない」というわけだ。しかし、本当にシャレにならないのは、これが「自分たちで調べた結果ではない」ということだ。

「独自にガス濃度を測定したテストラン参加者から通報があり、消防などが調べたところ、爆発のリスクがある空気中の濃度5%を超えていた」(読売新聞オンライン4月7日)

 万博公式サイトでは毎日、会場周辺の気候と共に「ガス安全確認状況」を更新して「安全」をアピールしているが、そういう運営側の発表への信頼度がガクンと落ちてしまったのだ。

「メタンガスの問題はあるが、それをメガソーラー火災に結びつけるのは飛躍しすぎだ!」というお叱りもあるだろう。もちろん、筆者もこれが「妄想」のまま閉会を迎えてほしい。しかし、一方で「飛躍」とも言えない事実もある。