子どもの安全を守る上で、コードワードは欠かせないものです。「自分が困っている」ということを、友達などの他人がいるところで親に伝えるのは恥ずかしい。そう考えてしまう子どもは少なくないからです。

 弱虫だって言われるかも。笑い者にされちゃわないかな。告げ口してると思われて、状況がもっと悪くなってしまったらどうしよう。ためらう理由はさまざまです。そんな状況に陥ったお子さんを救うのがコードワードなのです。

 グルーミング(編集部注/性加害者が被害者を手なづけるためにおこなう行為)のレッドフラッグに限らず、「このゲームをやらされるの、好きじゃない。なんか変な感じがする」「からかわれて、つらい」そんな気持ちになったら、いつでもコードワードを発してほしいと伝えてください。

「どうだった?」ではなく
具体的な質問を投げかける

 園や学校から帰ってきたとき。ベビーシッターとお留守番をしてもらっていたとき。時間の長短にかかわらず、お子さんと離れて過ごしたあとは、毎回必ず、その間どのように過ごしたかをお子さん本人から聞き取るようにします。

 お友達の家に1人で遊びに行かせたあとは、帰ってきた本人からだけでなく、相手の保護者の方からも話を聞くようにしましょう。お礼がてら先方に連絡を取り、どんなふうに過ごしたか、問題はなかったかを聞き、お子さん本人の話と食い違いがないか確認しましょう。

 お子さんの感想を聞くときには、少しばかりの工夫が必要です。「どうだった?」と聞くだけでは、「楽しかったよ!」の一言しか返ってこないかもしれないからです。次の例を参考に、具体的に質問してみてください。

・お友達と一緒にしたことの中で、何が一番楽しかった?
・とってもうれしい気持ちになるようなことはあった?
・何かつくったりした?
・何か新しいゲームをした?
・すごく笑っちゃうようなおバカなことをした?
・「早くお家に帰りたい」と思うことはなかった?
・誰かが悲しくなっちゃったり、怒っちゃったりするようなことは起きなかった?
・誰も困らなかった?
・今日お友達のお家に遊びに行って、一番よかったことはなんだった?
・今日お友達のお家に遊びに行って、一番嫌だったことはなんだった?

 こうしたコミュニケーションが必要になるのは、お友達の家に遊びに行かせたあとに限りません。お子さんと離れて過ごす時間があったあとはどんなときでも、その時間をどのように過ごしてきたか、お子さんから聞き取ることを習慣にしてください。