
驚くべきことに、世の中の児童性犯罪の9割は、被害者やその親の信頼していた人物によるものだという。そんな状況で、親はどう子どもの安全を確保すればいいのか?からだの安全絵本が全米ベストセラーとなった性被害予防専門家が提言する「子どもを守る方法」とは。※本稿は、キンバリー・キング著、栗田佳代訳『子どもを守る新常識 性被害セーフティガイド』(東洋館出版社)の一部を抜粋・編集したものです。
子どもを狙う犯罪者
真に警戒すべき対象とは
母親になったばかりのころ、わたしの神経はとがりっぱなしでした。過去のトラウマが、過覚醒というかたちで現れていたのだと思います。
とにかく、なにもかもが心配でした。犯罪捜査物のドラマを見ては、うちの子もいつか誘拐されてしまうんじゃないかと、本気で案じていたのです。
何者かが子ども部屋の窓から侵入してきて、子どもを連れ去ってしまったらどうしよう。ドラマでおなじみの犯人像、「子犬とお菓子をエサに子どもを誘い出す、白いワゴン車の男」が頭から離れませんでした。
これはまさに、いまも広く浸透している、子どもを狙った犯罪に関する間違った思いこみの一つです。見知らぬ人は、どこか怪しく思えるもの。だから子どもたちには、「知らない人と話してはいけません」と言って聞かせるのが一般的です。
しかし実のところ、真に警戒すべき対象は、「見知らぬ白いワゴン車の男」ではないのです。もちろん、そうした人物が犯行に及ぶこともあります。
2002年に米国で起きたエリザベス・スマート誘拐事件の犯人は、たしかに「見知らぬ白いワゴン車の男」で、スマート家と交流もありませんでした。
ですが、まったくの通りすがりではなかったのです。事件の数週間前、工事のためにスマート家を訪れていた作業員。それが、犯人の正体でした。