視覚系も聴覚系も弱い
感覚・運動系タイプとは

 私自身は、自分自身の暗記タイプを「視覚系タイプ」だと自覚しています。何十年もの間、脳画像を見て診断を続けてきたので、視覚系と理解系のネットワークが発達しているのではと自分自身をそう分析しています。

 そんな視覚系タイプの私の場合は、よく暗記法のひとつとして言われる「音読して覚える」という方法に全く向いていません。英単語や年号を何度も声に出して覚えるのは暗記の王道とされていますが、私自身にとっては、効率の良い暗記法とはいえません。働きの比較的弱い聴覚系脳番地を鍛える“脳番地トレーニング”としては良いかもしれませんが……。

 私のような視覚系タイプの人間は、英単語や年号を紙に書き出して、文字を目に焼き付けるようにしっかりと見て、視覚系脳番地から理解系脳番地へと流してあげた方が、記憶に残りやすいのです。

 このように、自分自身の「記憶脳タイプ」を知ることで、自分なりの勉強法がわかってきます。不得手なことの補強も時には必要ですが、効率の良い暗記・学習のためには、自らの得意とする記憶法を知っておくことでより短時間でより多くの情報を身につけることができるでしょう。

 自らの記憶脳タイプを知って、自分なりの記憶法を確立することで、未知の分野に取り組む時にも応用することができるため、どんどん「覚えること」が楽しくなってきます。そうなってくればしめたものです。

 視覚系も聴覚系も弱い、つまり聞いても見てもその情報を取り込むことが得意ではないタイプの人も稀にですが存在しています。

 このタイプは「感情系、運動系の脳番地」を刺激することで理解系脳番地が活性化する「感覚・運動系タイプ」に分類されます。視覚系・聴覚系タイプ両方のアプローチを行い、なるべく多くの脳番地を刺激しつつ、「実際に体験する」形で勉強を行うことが効果的です。聞いたもの、見たものをただ紙に書き写すのではなく、日記のような形で自分が「追体験」をしたかのように書いて理解・記憶に結びつけるとよいでしょう。