帰りの伊丹空港行きシャトルバスの乗車時にも不思議な出来事があった。桜島駅シャトルバス以外のシャトルバスは完全予約制なのだが、乗り場で前に並んでいた男性2人はそれを知らなかった。

 どうしたらよいかと尋ねられた運転手は、関西MaaSアプリをインストールして乗車券を購入してくれと説明する。しかし、乗車券は乗車30分前で販売を終了するため、彼らは1時間後のバスまで待たねばならなかった。バスが満席であれば致し方ないが、その便は大型観光バスに4人しか乗車していなかったのである。

 桜島駅シャトルバスの予約問題にしても同様だが、こうした不親切・不合理はスタッフの手間となり余裕を削り、積み重なれば輸送力の低下を招きかねない。輸送力の低下は会場の混雑を招き、来場者の不満に直結する。

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 交通とは関係ないが、入場4日前に送られてくるリマインドメールに手荷物検査の注意や大きな荷物の持ち込み制限など当日の注意が記されているのだが、「会場内はキャッシュレス決済のみ!」の詳細ページへのリンクを開くと、対応するクレジットカード、電子マネー、QRコード決済の種類について「詳しい情報は、2024年度中に公表いたします」と書かれている。

 もちろん詳細は決まっており、公式サイトのトップにある「大阪・関西万博からのお願い」というページには「会場内で使える支払方法」のプレスリリースへのリンクがある。にもかかわらず、来場者に送信するメールからはそのページに飛べない。完全に忘れているのだろうが、こうした詰めの甘さが散見されるのだ。

 万博協会が来場者の増加を望むのであれば、いま一度、運営を振り返ってほしい。