ノン・ネイティブが
最強の武器になるとき

 あるとき彼が、CEO自ら自社の家電製品の展示販売を行う姿を拝見することがありました。「マシーン」(machine)と発音するところを「マスゥイーン」となんとも言えないキュートな発音で何度も言い続け、相手のアメリカ人が苦笑いしていたことが非常に印象的でした。ただ、熱意を持って楽しそうに話し続けて、結局そのアメリカ人は2台の「マスゥイーン」を買っていったのです。

 英語は、そもそもコミュニケーションの道具です。その時々の目的に応じたコミュニケーションを心がけて、その目的を達成するために使うもの。そして、その目的のためには、正確な発音や文法は必要ないのです。

 さらにこれは私の経験ですが、少々の間違いは、ノン・ネイティブのご愛嬌(あいきょう)で自分のキャラクターの一部として受け入れてもらえたりもします。

 大学院生のときにアメリカ人の彼女ができたことがありました。そうした関係に発展したのも、私が英語をあまり喋れないので、いろいろ面倒を見てもらっているうちに、だんだん距離が近づいていったから。私が流暢(りゅうちょう)な英語を話していたら、そういう流れにならなかったのは間違いありません。

 ノン・ネイティブであることに引け目を感じて、ネイティブの英語を求め続けるのは無駄どころか、逆効果です。

 ノン・ネイティブなりのいいところを本文で知っていただき、その良さをたった今から活かしていこうではありませんか。