そして、発音は改善するのが非常に難しい。これは様々な研究で示されていて(注10)、年齢を重ねれば重ねるほどさらに難しくなっていきます。
改善するだけでもそれほど大変な上、人間の耳はちょっとしたネイティブとの違いにも敏感。つまり、ネイティブの域に達するのは“不可能に近い”というわけです。
一方で、第2言語として英語を学ぶ私たちだからこそのアドバンテージが、いくつもあります。ノン・ネイティブ英語のほうが、グローバルビジネスの現場でネイティブ英語よりも理解されやすく(注11)、ノン・ネイティブのほうが他のノン・ネイティブを理解しやすい(注12)。
つまり、私たちが第2言語として英語を習得すると、グローバルの舞台では、ネイティブたちより理解されやすく、相手のことも理解しやすいということです。
それから私自身もたくさん経験しましたが、多くの人たちがノン・ネイティブとわかってくれるので、より理解しようと、話に耳を傾けてくれる。これはかなり大きなアドバンテージです。
たどたどしい英語に対する
ネイティブ英語話者の反応は?
私が初めてアメリカで大学院の授業を取ったときのこと。
哲学のディスカッションに参加しなくてはいけなかったのですが、周りのネイティブのアメリカ人たちは、話している人をなかば遮って話し始めたりなど、けっこう荒々しいマナーでした。しかし、私が話し始めたときには、話を遮ったりしようとする人などおらず、ゆっくりとたどたどしい英語でも、しっかり最後まで耳を傾けてくれることが多々ありました。
もちろん、すべての実践の場がそうなるわけではありません。ですが、そこそこ多くの場合に、理解しようとしっかり話を聞いてもらえる。これは非常に大きなメリットです。
注11 Charles ML, Marschan-Piekkari R(2002) “Language training for enhanced horizontal communication: A challenge for MNCs.” Business Communication Quarterly 65.2:9-29.
注12 Sweeney E, H Zhu(2010) “Accommodating toward your audience.Do native speakers of English know how to accommo-date their communication strategies toward nonnative speakers of English?” Journal of Business Communication 47.4:477-504.