そもそも「おばあちゃん子、おじいちゃん子」というのは、抱っこされたり、かまってもらったりする回数が父母だけに育てられた場合よりずっと多くなります。親も祖父母も手をかけて育てた子どもというのは、間違いなく、人間関係のコミュニケーションに困難を感じることが少ない。
「おばあちゃん子は三文安い」などと言われたことがあります。親よりも祖父母は孫を甘やかすからわがままになる、といったような意味ですが、乳幼児期におばあちゃん、おじいちゃんにたくさんかまってもらって、抱っこをしてもらうことを「わがままになる」とか「抱きぐせがつく」と心配する必要はまったくありません。
私の家には男の子が3人います。もうとうにみんな大人になって自立していますが、私たち夫婦は、長男が生まれる前に私の両親を招いて同居することにしました。子どもたちは3人とも、生まれてみたら両親もいるし祖父母もいる、という家庭で育ちました。
祖父母というのはとにかく孫から目を離さない。もちろん親もあるていどはそうしているわけですが、祖父母はそれ以上に目も心も離しません。孫が喜ぶことをしてやることこそ、祖父母にとっては最大の喜びでした。これはもちろんある種の過保護です。ときにはしつけとしては望ましくないようなことでも「孫が喜ぶから」とやってあげる。けれどそれが同時に自分の喜びなのです。毎日、これが「喜びを分かち合う」ことの原形なのだな、と思うような場面ばかりでした。
決して叱らない祖父母は
孫にとって大切な逃げ場
おばあちゃんには、
どんどん過保護に
なってもらいましょう
たとえば親が夕食のしたくをしていて、もうじきごはんだ、というような時間になると、子どももお腹がすいてきています。そこでおじいちゃん、おばあちゃんの部屋に行って「お腹すいた。何かない?」なんて言い出します。
するとさっそく、「ビスケットがあるよ」「おせんべいを食べるかい」ということになりますね。親としては「あと15分がまんすれば、おいしくごはんが食べられるのに」と思うわけです。つい、そう口に出して言いたくもなります。けれどお菓子を与えた祖父母や子どもをなじったり、叱る必要なんかありません。