「独創的になろう」とする人が陥るワナ
誰しも悩みや不安は尽きないもの。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)など、33万部突破シリーズの原点となった『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!

【精神科医が教える】「独創性がある人」と「痛い人」の決定的な違いPhoto: Adobe Stock

独創的になろうとしすぎないで

今日は「独創的になろうとしない」というテーマでお話ししたいと思います。

最近、世の中を見ていると、「独創的にならなきゃ」と頑張りすぎて、かえって薄っぺらくなってしまっている人がいるなと感じます。自分を無理に飾って、自爆してしまうような印象を受けることもあります。

個性は「つくるもの」ではなく「あるもの」

たしかに、今は「個性」が大事にされる時代です。でも、個性的であろうとするあまり、そもそも個性とは何かを見失ってしまっている人も多いように思います。

私の考えでは、個性というのは“つくるもの”ではなく、“もともとあるもの”です。だから、「個性的になろう」と努力しはじめた時点で、すでにズレてしまっているのかもしれません。

借り物の個性は痛々しい

その結果、「借り物の個性」のようなものが生まれてしまいます。無理に妙なことをして目立とうとすると、見ている側からすると痛々しく映ってしまうこともあるでしょう。

しかも、そのスタイルにハマってしまうと、なかなか抜け出せなくなるものです。うまくいくはずだったことが、かえってうまくいかなくなる…そんなケースも少なくないと思います。

本当に独創的な人は「普通」にやっているだけ

世の中には独創的な人、個性的な人はたしかにいます。私も「変わってる」なんて言われることがありますが、自分としては「普通にやっているだけ」です。

そういう人たちは、ただ「自分軸」で行動しているだけなんですよね。だから自然に個性的に見えるのです。

逆に、「個性的と思われたい」「変わってると言われたい」という気持ちで動くと、それはもう他人軸です。そうするとたいてい滑ってしまいます。

「独創性がない」と言われても気にしない

「君には独創性が足りない」なんて、誰かに言われた経験がある人もいるかもしれません。でも、それは気にしなくて大丈夫です。

そう言われたからといって、「じゃあ、独創性を身につけよう!」とがんばっても、それは多くの場合、空回りしてしまいます。

普通であることの価値

世の中の大半の人は、真面目で、そこまで個性的ではない人たちです。それが普通なのです。もし独創的な人だらけだったら、社会は混乱してしまうでしょう。

だから、「普通」であることに、しっかりと価値があるのです。普通のことを、普通にやる――これは意外と難しいことでもあり、立派な能力なのです。

自分らしさ=あなたの独創性

真面目であろうと、堅実であろうと、それを自分らしくやっているのであれば、それがあなたの独創性です。派手さや奇抜さがなくても、自分なりの姿勢を貫いていること自体が個性なのです。

「目立たないように、浮かないようにやっている」その自然さも、十分に“あなたらしさ”であり、立派な独創性です。

結局は「自分軸」で生きること

ですから、「もっと独創的にならなきゃ」と思って苦しくなっている方がいたら、むしろその考えを手放してみてください。

他人の目を気にして行動すると、どんどん自分を見失ってしまいます。自分のやりたいことを、自分らしくやること。それが一番自然で、結果的に一番個性的なのだと思います。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。