「なんで相談しなかったの？」と聞く人は頭の悪い二流。頭のいい“一流”はどう聞いている？

「『なぜ、そう思うの？』は、絶対にNGです」
「なぜなぜ分析」をはじめに「なぜ？」という問いは“論理的に考える”ための「良い質問」だと考えられている。しかし実は「なぜ？」「どうして？」は、致命的な「解釈のズレ」を生み、噛み合わない会話＝「空中戦」を作り出してしまう元凶、「最悪の質問」なのだ。
「事実と解釈の違い。これに気づけていない人は、まだ確実に“曇りガラス”の中にいます」――。話題の新刊『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』では、世界・国内の各地で実践・観察を積み重ねてきた著者による「賢い質問の方法」＝事実質問術を紹介している。本書に掲載された衝撃の新事実の中から、今回は「ありがちなNG質問」について紹介する。（構成／ダイヤモンド社・榛村光哲）

「なんで相談しなかったの？」は良くない質問

皆さんは日々職場のコミュニケーションに様々な悩みを持っておられることと思います。

例えば、部下との関わり方であれば、部下の仕事の出来が悪かったり、何かトラブルを持って帰ってきたりすると、つい次のように聞いてしまうのではないでしょうか。

これは、実は部下と上司との間に良くない「コミュニケーションのズレ」を生じさせてしまう質問です。

今回はこの質問をすると、何が起きるかについて考えていきましょう。

「なんで」と聞いても、原因にはたどり着けない

先程の例において、あなたが上司だったとしましょう。

そもそもですが、あなたが先程の質問をしたとして、頭の中ではどのようなことを考えているでしょうか。たとえば、「もっと早く相談してくれていれば手が打てたのに」や「トラブルを早く相談しないだなんて、困ったものだ」などのように考えているでしょう。

では逆に部下の目線を想像してみましょう。

自分が想定していたかどうかにかかわらず、上司から「なんで相談しなかったの？」と言われたときに、部下はどう感じるでしょうか。あなたが上司に先ほどのように言われた経験を思い出してみてもかまいません。

きっと、内容がどうであれ、「これは怒られるな」と感じてしまったり、「時間がなくてどうしようもなかった」とか、「自分も予想できていなかった」などのような、言い訳が頭に浮かんでくるのではないでしょうか。後ろ向きな考えが先に出てきてしまうと思います。

口をついて出てくる回答も、「時間がなくて」「忘れていて」などのような、苦しい言い訳のようなものになってしまうのではないかと思います。これでは上司も部下も、原因分析にも、問題解決にも繋げられないですよね。

「なんで？」は相手を問い詰める。

ここで注目したいのが、質問者と回答者との間に「意図のズレ」が生じている点です。

質問者はたとえば、「同じ問題が2度起きないようにするため」＝再発防止のためだったり、「今から問題に対処するため」＝解決策を見つけるため、に質問していますが、回答者のほうは「自己防衛のための言い訳」が先に頭に浮かんでしまいがちなのです。

このようなコミュニケーションを生む質問は、果たして良い質問と言えるでしょうか。また、こういったコミュニケーションを通じて、部下と上司との間の信頼関係は良い方向に築かれていくでしょうか。甚だ疑問です。

「事実質問」で事実に絞って聞いていく

こういった場合は、本書で紹介している「事実質問」に沿って、まず事実を確認していく必要があります。

たとえば、次のように聞いてみるのが一手です。

こうすれば、部下が事実を“思い出し”さえすれば、確実に1つの答えにたどり着くことができます。同じ景色を最速で共有することができれば、問題解決も原因分析も、より前向きに進んでいくことでしょう。

原因を聞きたい時は、原因を直接に尋ねてはいけないのです。

（本記事は『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』に関する書き下ろし原稿です）