人の死を悲しみすぎると病気になる?和田秀樹氏が警鐘、高齢夫婦が立て続けに亡くなる理由写真はイメージです Photo:PIXTA

家族や友人など、大切な誰かが亡くなったあとにいつまでも悲しんでしまう人も多いだろう。だが、これまで6000人を看取ってきた高齢者専門の精神科医・和田秀樹氏によれば、「悲しみを引きずるのはバカであり、病気のリスクにもつながる」という。正しい死との向き合い方とは――。※本稿は、和田秀樹『死ぬのはこわくない――それまでひとりを楽しむ本』(興陽館)の一部を抜粋・編集したものです。

いつまでも人の死を
悲しむ必要がない理由

 長く生きれば、それだけまわりの人が亡くなっていきます。多くの死を見送ります。自分が死ぬことを想像するのと同じように、夫や妻、親、子供といった家族の誰か、友人、ペットなど、身近な関係の誰かを死という現象で亡くしてしまうことは、耐えがたい悲しみをもたらします。

 これまでずっと隣にいた場所にぽっかりと穴があく。その状況に慣れず、動揺するのはよく分かります。そうなのですけれども、そんなことに怯まないでください。くじけないでください。ましてや、いつまでも悲嘆に暮れて、泣き続けるなどということは、バカのすることです。即刻やめてください。その悲しみの理由の1つは、脳内のセロトニンが減少しただけです。

 隣に人がいないからまったく眠れない。食欲が全然わかない。そんな状態なら、それはもう、普通に考えてうつ病なので、我慢しないで、病院にかかるべきです。早めの診断が肝心です。ヘボな医者に当たらない限り、対象喪失型のうつ病は治ります。

 一般的に、喪失体験のショックは、数カ月から1年ほどで収まるとされています。いつまでも「あの人がいれば」「あの人がいてくれたら」と考えてしまうのは、ないものねだりに他なりません。