3位:インターホンと電話に無反応で
商品持ち帰り→激昂されたお客様の暴言

 その日は雨だった。僕は配達用バッグ(通称、ウバック。心無い方から「負け組ランドセル」と呼ばれることもある)を背負った状態で、閑静な住宅街にある一軒家へ到着した。インターホンを押したが、反応はなかった。電話をかけたが、こちらも反応はなし。このタイミングで、僕は雨に打たれながら「12分タイマー」を起動させた。

 ウーバー配達員は配送先に到着後、お客様と12分間連絡が取れない場合、その配達を強制的に完了することができる。運搬している食事は廃棄や持ち帰り等、配達員が自由に扱ってよい。配送に伴うすべての料金は客側が負担する。つまり配達員の待機時間には制限があり、これを超過した場合は客側の不手際(責任)として処理される。

 待機時間中も適宜インターホンを押し、電話もかけたが、変わらず反応はなかった。そして迎えたタイムリミット。次の配送予定が決まっていたこともあり、僕は配達を完了させ、その場を離れた。

 そこから約10分後、知らない番号から着信があった。先ほど配達したお客様からだった。その方は男性で、昼寝をしていたのでインターホンに気がつかなかったらしい。再配達をお願いしたいと言われたので、僕は「距離的にもう再配達は難しいです。ウーバーのサポートセンターに連絡を入れてください」と伝えた。この説明を聞いた瞬間、その男性は激昂。

「いいからは早く再配達しろ!」
「持ち逃げするな!」
「仕事なんだからちゃんとやれよ!」

 激しい怒りをぶつけられた。

 ウーバーを利用した側からすると、料金が発生するにもかかわらず頼んだ商品が届かない(逆に配達員からすると、報酬が発生するうえに美味しい食事まで手に入る)。心中はお察しするが、これはウーバーを利用する際の正規ルールだ。アマゾンや佐川急便と異なり、フードデリバリーの再配達には限界があること。これらの点について、ご理解いただけたら嬉しい。