1位:留守番する子のために
職場からウーバーしたお客様の暴言

 ウーバー配達員として過去一番で最悪な思い出は、自宅にいる子どもたちの夜ご飯のため、職場からウーバーを利用した母親のエピソードで決まりだ。

 ウバッグにお弁当を2つ入れ、僕は配送先の一軒家を探していた。お客様情報の備考欄には「黄色い家です」と記載があったが、夜間のため色の識別ができない。表札も見当たらず、配達用アプリに表示されるピンの位置(配送先の位置情報)もズレている。

 僕はお客様に電話をかけた。女性の方で「黄色い家だからすぐわかると思いますけど?」と言われたので、僕は「夜なので色がわからなくて……」と答えた。しかし、どうにもこれが腑に落ちなかったようだ。ここから10分間、しつこくしつこくネチネチと「口撃」を受けた。

女性「もうだいぶ時間が経ってますけど、お弁当は冷めていませんか?」
著者「すみません。今ご自宅を探してるんですけど、家の特徴を……」
女性「冷めてませんか、という質問を私はしてるんです」
著者「すみません」
女性「すみませんじゃなくて、バッグを開けて確認すればいいでしょ?」
著者「……急いで届けられるよう、頑張ります」
女性「ウーバー配達員って、やっぱりダメな人が多いのね。いいですか、ウチの子たちがお腹をすかせているんです。私は今職場にいて、子どもたちのためにウーバーを頼んだんです」
著者「はい」
女性「どう責任を取ってくれるんですか? まだ小さい子どもたちがお腹を空かせてるんですよ? お弁当だって冷めてるんでしょ?」
著者「もし何か不具合等があれば、サポートセンターの方に連絡を……」
女性「今私はアナタと会話してるんです。こんなに配達に時間がかかって、冷めたお弁当を食べなくてはいけない、ウチの子たちがかわいそうだとは思いませんか?」

 その後、なんとか無事、お客様の家に到着。インターホンを押すと、中学生くらいの男の子が出てきた。その男の子は「さっき母から電話があったんですけど、なんかウチの母がご迷惑をお掛けしたみたいで、すみませんでした」と謝罪された(年齢離れした大人な対応に驚いた)。