私自身、この疑問に対して、現段階でしっかりと答えられるかまだ心許ない。しかし、暗い話題ばかりではなんだか後味も悪いし、本記事ではこうした時代を生き抜くヒントを改めてまとめてみたい。
(1)知る
(2)深める
(3)(行動する)
まとめると、以上の3点である。それぞれ見ていこう。
見えない境界線が
街の多様性を削る
まずは、「分断」がどのように起こっているのかを知ろう。所得階層、ジェンダー・セクシュアリティ、年代、趣味・嗜好……、それらがどのように私たちが住んでいる都市を分断しているのか。
ある悩みを言語化できただけで、自然とその悩みが消えるように、今まで気付いていなかった分断に気付くだけで、なぜか頭がスッキリして、心が晴れることもある。
1つ例を挙げてみよう。近年、電子マネーなどのキャッシュレス決済がどんどん広がっている。店によってはキャッシュレス決済しか使えないところもある。別になんてことはないのだが、私はなんとなく「キャッシュレスオンリー」の店が増え続けることに、ちょっとした違和感を感じていた。
そんなことを思っていたときに、TBSポッドキャストで配信されている速水健朗の「これはニュースではない」を聞いて、この違和感が解消された。そこでは、速水が最近よく訪れるという日本橋のCOMMISSARY(カミサリー)というフードコートが紹介されていたのだが、そこはキャッシュレスオンリーで店内には外国人が多いほか、若年層が多いという。これを通して速水は「支払いのシステムで高齢者のお客さんをソフトに選別している可能性があるんじゃないか」と述べる。
さらに、高円寺のように相対的にチェーン店が少なく、現金支払いの店が多い場所を好む層と、そうではない層の2つのレイヤーで街が構成されているのではないか、と続ける。
まさに「キャッシュレス」というデジタル技術自体が、「静かな排除」と「分断」をひっそりと引き起こしている可能性を指摘しているように、私は感じた。キャッシュレスオンリーの店が増えることは、結果的に街の多様性を失わせてしまうかもしれないのだ。そこに私の小さな違和感の原因があった。