Photo by Koyo Yamamoto
ブリヂストンが、樹脂製タイヤ「エアフリー」の開発を進める。空気充填が不要で、パンクしないタイヤとして売り出し中だ。量産したとしても、一般的なゴム製タイヤより、価格が安くなることはないという。特集『ブリヂストン リストラ後の跳躍』の#7では、エアフリーの事業化を目指す深い意義に迫る。(ダイヤモンド編集部 山本興陽)
パンクせず、自動運転との相性が良い
弱点は、ゴム製より安くならないこと
「(ゴム製タイヤと)コストが同じになるとか、安くなるというのは想像し難い」。ブリヂストンの「エアフリー(AirFree)」担当者はそう明かす――。
ブリヂストンが次世代の樹脂製タイヤ、エアフリーの開発にまい進している。
一般的なタイヤは、タイヤ全体がゴムで覆われ、内部を空気で支える。
エアフリーを装着したバス 写真提供:ブリヂストン
一方、エアフリーは、上の写真が示すように、表面はゴムで変わりないが、内部を樹脂で支える。「パンクしないタイヤ」とも呼ばれ、空気充填が不要で、空気圧のチェックなど日々のメンテナンスも要らない。パンクしないため、運転手が乗らない自動運転と相性が良いとも業界内ではいわれている。
ブリヂストンは2008年より開発を行い、現在は公道での実証実験や社会実装の段階だ。国内外の大手メーカーも、パンクしないタイヤの開発を進めている。
しかし、冒頭の担当者の言葉が示すように、何よりエアフリーはコストが高い。「コストを算出するようなステージにない」(同)と続けるが、強度の高い樹脂を大量に使用することから、既存のゴム製タイヤ以下の価格になることはないという。
そのため、同じく樹脂製タイヤを製造する競合他社では「もうからない」と、開発がトーンダウンしている企業もある。
しかし、ブリヂストンは30年以降の事業化を模索し、対外的にも重要な事業として発信を続ける。「ゴム製タイヤより高い」と分かっていながら、なぜ開発を続けるのか――。
次ページでは、ブリヂストンがエアフリーの事業化を目指す深い意義を明らかにする。同社が跳躍するためには、重要な事業なのだ。







