
JR旅客6社の2024年度決算が出そろった。JR東日本、JR西日本、JR東海、JR九州の上場4社はいずれも増収増益となった。非上場のJR北海道は増収増益、JR四国は増収ながらわずかに減益となった。いずれもコロナ禍からの輸送需要の回復を背景に好決算となったが、各社が置かれた状況はそれぞれ異なる。今回は「本州三社」を見ていこう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
非鉄道事業が順調に
拡大しているJR東日本
まずはJR東日本だ。営業収益は対前年度5.8%増の2兆8875億円、経常利益は同8.4%増の3215億円、純利益は同14.2%増の2242億円だった。セグメント別に見ると、運輸事業は、営業収益が5.1%増の1兆9457億円、営業利益が8.8%増の1760億円だが、期首計画と比較すると営業利益は6.4%減となった。
不動産・ホテル事業は、営業収益が6.5%増の4454億円、営業利益が9%増の1203億円、対期首計画では第3四半期(10~12月)の収益が計画を上回ったこともあり、19.1%の大幅な増益となった。流通・サービス業は、営業収益が6.6%増の3937億円で、営業利益が15%増の605億円だった。
コロナ前の2018年度との比較では、不動産・ホテル業、流通・サービス業の営業利益は5割前後増加しており、非鉄道業の拡大は順調に進んでいる。問題は営業収益が同91.6%ながら営業利益は同51.5%にとどまる鉄道業だ。
営業収益に対して営業利益の落ち込みが激しいのは、鉄道は固定費の比率が高く、減収分が減益に直結するからだ。実際、2018年度と2024年度を比較すると、運輸業は1773億円の減収に対して1659億円の減益となっている。
2024年度の旅客営業収入は、新幹線は前年度比8.6%増で対2018年度の97.7%、在来線定期外が5%増で100.4%まで回復したが、在来線定期券は2.4%増ながら84%の水準にとどまっている。