JR東日本の営業利益はすでに
非鉄道事業が鉄道事業を上回る
これを反映して2025年度の期首計画は、営業収益が前年度比4.7%増の3兆230億円、営業利益が同2.7%増の3870億円、経常利益は同0.5%増の3230億円となっている。運輸業は営業収益が同2.8%増の2兆10億円、営業利益は同0.5%増の1770億円を見込む。
同社は2026年3月の実施に向け、昨年12月に普通運賃7.8%、通勤定期12.0%、通学定期4.9%の運賃改定を申請した。認可されれば旅客運輸収入は運賃改定を行わなかった場合と比較して881億円増の2兆346億円となり、鉄道事業の収益性は大幅に改善する見込みだ。なお、運賃改定の事情については、『「えっ、東京~新宿の運賃が2割値上げ?」JR東日本が初めて大幅値上げに踏み切った事情』を参照いただきたい。
1990年を基準とした2050年の南関東(一都三県)の人口は1.11を維持するも、南東北(福島県、宮城県、山形県)は同0.67、北東北(青森県、岩手県、秋田県)は同0.51と半減。これらの地域はあわせて少子高齢化が進行するため、輸送需要は人口以上に縮小する。
そうなると非鉄道事業に力を入れざるを得ない。不動産・ホテル業は今年3月に「THE LINKPILLAR 1」が先行開業した「TAKANAWA GATEWAY CITY(高輪ゲートウェイシティ)」(詳しくは、『もはやSFの世界だわ…「高輪ゲートウェイシティ」開業で垣間見えた“未来の街”とは?』を参照)が通年で寄与することから、営業収益は前年度比12.5%増の5010億円を見込む。ただし、営業利益は費用増のため同0.5%増の1210億円の想定だ。
一方、流通・サービス事業は今年秋に高輪ゲートウェイシティに「NEWoMaN TAKANAWA(ニュウマン高輪)」が開業予定を予定しており、営業収益が同6.1%増の4180億円、営業利益は同10.7%増の670億円を見込む。
高輪ゲートウェイシティの残る区域と「OIMACHI TRACKS」は2026年春の開業を予定。このほかにも浜松町西口、田町駅西口、品川駅などの開発を進めており、2034年頃までに年間1000億円の営業収益、また、2028年12月に完成予定の船橋市場町社用地開発も年間370億円の収益を見込んでいる。
同社は2027年度までに、営業収益における鉄道事業と非鉄道事業の割合を6対4にする目標を立てているが、2024年度実績は66%対34%だ。ただ、営業利益で見ると既に46%対54%と非鉄道事業が上回っており、これはコロナ前のJR九州と同等の水準だ。