昭和的な「ご機嫌取り」は
令和の今でも重要なスキル
私自身の周囲を見回しても、日曜日とは言わずとも、土曜日に(日本に在住している)外国人と飲んでいる人は、外資系企業ではけっこういる。
「外資系企業で昇進を望むなら、役員の近くに引越する方がよい。その方がなにかとコミュニケーションをとれる」といった話もよく耳にする。人事権を、直接の上司が握っている外資系においては、上司のご機嫌取りがより重要である。昇進できるかどうかが上司の好き嫌いひとつで決まってしまうことがあるためである。
上司のご機嫌取りは、もともと日本のお家芸である。もはや廃れてしまった昭和の遺風であると一蹴するのはたやすい。しかし、人の心というのはそう簡単に変わるものではない。おだてられ、へつらわれる心地よさに抗えない上司は、日本にも海外にも多くいるだろう。
柔軟性、関係性、他者視点での影響力という意味では、ハーバード大学で開発されたアダプティブ・リーダーシップとの共通点も多い。あけすけなご機嫌取りを誰もしなくなってしまった今だからこそ、男芸者的な振る舞いに、生き残りのヒントとなる、光る「何か」がある。このような観点から、このいかにも昭和的なスキルセットを一度見直してみてはどうだろうか。
「逆張りの転職」で
相対的な市場価値を高める
安易な転職に飛びつくのではなく、今いる職場にしがみつくことを推奨してきたが、もちろん転職によって活路を見出せることもある。それは、「逆張りの転職」によって自らの人材としての市場価値を相対的に高める方法である。
「逆張り」とは、通常の動きとは逆向きのベクトルをあえて選ぶことを指している。たとえば、昭和の時代にはよくみられた「地方から都会へ」というキャリアアップを逆転させてみよう。